◎首都ポルトープランスでの生活はサバイバルゲームと化し、ギャングが警察を圧倒する中、政府は機能不全に陥り、無法地帯となっている。
ギャングの支配下に置かれるハイチの首都ポルトープランスにとどまる多くの市民がサバイバルゲームのような生活を余儀なくされている。
スラム街の近くで市民の避難を支援しているという男性はAP通信の取材に対し、「毎朝、死体が放置された路上で果物を売ったり、市民に安全な道を教えたりしている」と語った。
地元テレビ局が21日に報じた映像にはギャングとみられる集団に追われる女性の姿が映っていた。この女性がどうなったかは不明である。
スラム街にとどまる多くの市民が自警団を形成。金属フェンスや有刺鉄線を購入し、自分たちで設置した。
同国の治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、空港、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
国連によると、今年1~3月の間に確認された死者は2500人を超えたという。被害の全容は明らかになっていない。
ポルトープランスでの生活はサバイバルゲームと化し、ギャングが警察を圧倒する中、政府は機能不全に陥り、無法地帯となっている。
ギャングの支配地域を車で爆走したというX(旧ツイッター)ユーザーはこう投稿している。「まるでマッドマックスの世界。これが世紀末だ」
国際移住機関(IOM)のハイチ事務所は最近の声明で、「スラム街に閉じ込められた人々。まさに地獄。いつ死んでもおかしくない」と警告した。「首都を脱出するためにはギャングの包囲網を突破しなければなりません。四面楚歌の状態です...」
殺人、レイプ、誘拐が横行する中、市中心部のスーパーマーケットには武装した警備員が大勢いて、小さな警察署のようになっているところもある。