◎犠牲者の中には生まれたばかりの乳児と母親も含まれていた。
ハイチ、首都ポルトープランス、暴動から逃れる人々(Getty Images)

ギャングによる暴力が続く中米ハイチの中部アルティボニット県で今週、武装ギャングによる襲撃事件が相次ぎ、少なくとも70人が死亡した。国連が4日、明らかにした。

それによると、襲撃は3日、アルティボニット県の複数の地域で確認され、市内の通りには遺体が放置されていたという。

AP通信は目撃者の話しとして、「フェイスマスクをつけた武装兵が市内を巡回しており、ライバルギャングの戦闘員を次々に射殺した」と伝えている。

自治体は当初、殺害された人の数を20人と報告していたが、その後の調査でさらに多くの遺体が見つかったという。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は声明で、「首都ポルトープランスのギャングはアルティボニット県でも市民を虐殺している」と非難した。

それによると、犠牲者の中には生まれたばかりの乳児と母親も含まれていたという。

死亡が確認された70人のうち少なくとも10人が女性、3人が乳児であった。

ギャングは少なくとも45軒の民家と34台の車に火を放ち、複数の店舗を略奪したという。

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は声明で、「この暴力により少なくとも3000人が避難を余儀なくされた」と非難。ギャングに武器を置くよう強く要請した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

国連によると、今年1~5月までに全土で殺害された市民は3200人以上。この1年半で50万人以上が住居を失ったと推定されている。4~6月末の間に死傷した市民は約1400人。さらに428人が誘拐され、行方不明になっている。

アフィリエイト広告
スポンサーリンク