ハイチ政府が緊急事態宣言を発令、中部地域でギャング暴力激化

国連によると、中部地域で避難を余儀なくされている市民を23万9000人以上。その多くが国連や他の人権団体の避難民キャンプに身を寄せている。
ハイチ、首都ポルトープランスの通り(AP通信)

ハイチ政府は9日、ギャングの暴力行為が激化する中、中部地域に3ヶ月間の緊急事態を宣言すると発表した。

フィゼメ(Alix Didier Fils-Aimé)首相は声明で、「この緊急事態令は中部アルティボニット県を含む3地域を対象とし、ギャング暴力に対処するものである」と述べた。

この地域は米の産地として知られているが、過去数カ月、ギャングの攻撃を受け、農民が殺害されたり、田畑を放棄する農家が急増している。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月から25年6月末までの間にアルティボニット県と周辺地域で1000人以上が殺害され、200人以上が負傷し、620人が行方不明になっていると報告している。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

OHCHRは24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。

国連によると、中部地域で避難を余儀なくされている市民を23万9000人以上。その多くが国連や他の人権団体の避難民キャンプに身を寄せている。

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