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ハイチ大統領暗殺事件、控訴裁判所が再捜査命じる

モイーズ氏は2021年7月に暗殺され、当局による捜査が続いている。
2021年7月21日/ハイチ、首都ポルトープランス、暗殺されたジョブネル・モイーズ大統領の国葬(Joseph Odelyn/AP通信)

中米ハイチの控訴裁判所がモイーズ(Jovenel Moise)大統領の暗殺事件について、当局に再捜査を命じた。現地メディアが14日に報じた。

これを受け、司法当局は米国とカナダに支援を要請している。

首都ポルトープランスの控訴裁判所は当局の捜査に不備があるとして、モイーズ(Martine Moïse)夫人を含む51人の起訴を無効とし、再捜査を命じた。

モイーズ氏は2021年7月に暗殺され、当局による捜査が続いている。

当局は昨年2月、この暗殺事件に関連して、モイーズ夫人を含む50人近くが起訴されたという報告書を公表。世界を驚かせた。

その中には米州機構のハイチ代表を務めたシャルル(Léon Charles)氏とジョゼフ(Claude Joseph)元首相も含まれていた。

AP通信によると、司法当局はモイーズ夫人、シャルル氏、ジョゼフ氏、その他被告らへの事情聴取を再度行うため、米国とカナダに支援を求める意向を表明したという。

控訴裁判所は「これまでの事情聴取は無効とする」とした一方で、実行犯である17人の元コロンビア人兵士と、数人のハイチ人容疑者は引き続き勾留するよう命じた。

APは情報筋の話しとして、「検察は上告せず、控訴裁の決定を受け入れる」と報じている。

ハイチの治安はモイーズ氏暗殺と21年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。司法システムも機能不全に陥っている。

ポルトープランスでは4年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

ポルトープランスでは現在も同地域の大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

米国でもモイーズ氏の暗殺に関連する裁判が進行中だ。これまで11人が起訴され、5人が罪を認めている。

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