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ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2022年7月2日/ハイチ、首都ポルトープランス(Ralph Tedy/ロイター通信)

中米ハイチの首都ポルトープランスでギャング間抗争が激化し、過去1カ月で6万人以上が避難を余儀なくされた。

一部の地元メディアは「首都陥落も時間の問題」と報じている。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は今月初め頃に発生。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら支配地域の拡大を目指しているとされる。

この結果、6万人以上が避難を余儀なくされ、その多くがトイレも飲料水もないその場しのぎのキャンプに身を寄せている。

ポルトープランスの避難者数は100万人以上と推定され、数十万人が隣国ドミニカに避難。その一部は米国への移住を目指している。

国連によると、ポルトープランス市民の9割が一日一食以下での生活を余儀なくされているという。

ポルトープランス空港はギャング間暴力の激化で閉鎖されたままだ。同空港は昨年商業便の運航を再開したが、その後、治安部隊とギャングの戦闘が激化し、閉鎖された。

昨年11月には米格安航空会社スピリット航空の旅客機が着陸直前に地上から銃撃を受け、客室乗務員が軽傷を負う事件が発生した。

トランプ米政権は現在、米国ビザを持っていてもハイチ人の入国を制限する渡航禁止令を検討している。

国土安全保障省(DHS)25日、バイデン前政権時代の一時保護資格(TPS)プログラムに基づき、米国への滞在を許可された約21万人のハイチ人を含む約53万人の労働・滞在許可を取り消す通知を出す予定だ。

トランプ政権は先週末、国内に滞在する53万人のハイチ人、キューバ人、ニカラグア人、ベネズエラ人のTPSプログラムを剥奪すると発表していた。

この措置は4月24日に発効予定。バイデン前政権の下で移民に与えられた2年間の強制送還免除を打ち切るものである。

国連はハイチの現状を「天井のない監獄」と表現している。ハイチ人は陸、海、空で世界から遮断されている。

国連によると、ギャング紛争による昨年の死者数は5600人以上。国内避難民が急増し、23年の33万人から100万人を超えた。

100を超える政府機関が閉鎖、移転、破壊され、全国で機能している病院はわずか27%に過ぎない。また避難民キャンプではコレラ、結核、その他感染症が流行し、人道危機に拍車をかけている。

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