◎路上には暴力に巻き込まれた市民の遺体が多数放置されている。
中米ハイチの首都ポルトープランスで20日、武装ギャングによる新たな攻撃が始まり、治安部隊との激しい銃撃戦に発展した。
AP通信によると、これまで比較的安全と考えられていた複数の高級住宅街で銃撃戦が繰り広げられたという。
路上には暴力に巻き込まれた市民の遺体が多数放置されている。
APは銃撃戦があった住宅地で5人の遺体を確認したと報じている。国家警察はコメントを出しておらず、ギャングが支配地域を拡大したかどうかは不明だ。
地元テレビ局はいくつかの住宅街につながる道路が封鎖され、ギャングの関所が設置されたと伝えている。
APの取材に応じた男性は「警察に支援を求めたが、誰も助けに来ず、重武装した集団から逃れることで精いっぱいだった」と語った。
APによると、少なくとも4つの地区がギャングの支配下に置かれたとみられる。
男性はAPに、「目を覚ますと、ロケットランチャーなどを持った戦闘員30人ほどが通りをうろついていた」と語った。「彼らは住民に武器を取り、戦争に参加するよう促していました...」
地元テレビ局によると、この銃撃戦で警察官少なくとも1人が死亡したという。それ以上の詳細は明らかになっていない。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの推定80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
米国務省は20日、ポルトープランス在住の米国民の最初の避難が完了したと明らかにした。
それによると、米海軍のヘリが市民15人以上を隣国のドミニカ共和国に空輸したという。
同省は退避を希望する米国民を毎日30人程度、ポルトープランスからヘリで空輸するとしている。