◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2022年10月10日/ハイチ、首都ポルトープランス、アンリ首相に退陣を求めるデモ(Odelyn Joseph/AP通信)

中米ハイチの北部沖で80人ほどの移民を乗せた船が炎上し、少なくとも3人が死亡、40人ほどが行方不明になっている。ハイチ沿岸警備隊が19日、明らかにした。

それによると、この船は英領タークスカイコス諸島に向かっていたという。

AP通信は当局者の話しとして、「現場で対応に当たった巡視艇が船長を含む3人の死亡を確認し、31人を救助した」と伝えている。

沿岸警備隊によると、ガソリンが入った2つのドラム缶から出火したとみられる。

地元テレビ局の取材に応じた隊員は「生存者の1人がラム酒とウイスキーを飲んでいた男の身体に火が付き、その後、ガソリン缶に引火したと証言している」と語った。

ハイチ国家警察は19日、この密航に人身売買組織が関与している可能性があると非難。情報収集を進めていると述べた。

現時点で逮捕者は出ていない。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

国連によると、それ以来、58万人近くが避難生活を余儀なくされ、100万人以上が出国したとみられる。

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