◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ政府がニカラグア行きのチャーター便の運航を全面的に禁止した。現地メディアが30日に報じた。
マイアミ・ヘラルド紙によると、ハイチ政府はこの決定に関するコメントを拒否したという。
ハイチの航空当局もコメントを出していないが、首都ポルトープランスの国際空港では数千人の利用者が足止めされているようだ。
AP通信の取材に応じた女性は、「予約した便がキャンセルになったと聞き、驚愕している」と語った。
女性はチケット代を何とか工面し、ニカラグアから米国を目指す旅に出る予定だった。
APによると、ポルトープランスの空港駐車場には旅行カバンを持った数千人が集まり、航空会社の発表を待っているという。その中には赤ん坊を抱いている女性も複数人いた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。地元の人権団体はこの争いで民間人数千人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。
APによると、8月中旬以降にハイチからチャーター機でニカラグアに渡った移民は最大3万1000人にのぼるとみられる。
米州機構はハイチからニカラグアに渡った移民の多くが徒歩で米国・メキシコ国境を目指していると指摘している。
この問題に詳しい専門家によると、ニカラグア行きチャーター便の座席は3000~5000ドルで販売されている。ニカラグアはハイチを含む一部の国の移民にビザを求めないため、人気の目的地になっている。
米州機構はこのチャーター便について、「昨年1月時点では運航しておらず、今年7月下旬に運航が始まり、1日3便が1日11便に増便された」と報告している。
チャーター便の運航停止はハイチ移民の国外脱出を困難にし、ボートによる出国を促す可能性があると指摘されている。
カリブ海亡命ルートは世界で最も危険な航路のひとつであり、数えきれないほど多くの移民が命を落としている。