◎アンリ(Ariel Henry)首相は先週、治安の悪化に歯止めがかからないとして、国際社会に支援を呼びかけた。
ハイチの首都ポルトープランスで11日、国連に抗議するデモが開かれ、数千人が参加した。
国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は前日、壊滅的な人道・経済危機に見舞われているハイチに国連主導の治安部隊を配備する必要があると国際社会に訴えていた。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは3カ月ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げており、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで500人を超え、数千人が国内避難民になった。
市民数万人がこの数カ月で国外に逃亡したと推定されている。その多くが難民となり、メキシコ経由で米国を目指している。
デモ隊は国連部隊の配備に反対し、タイヤを燃やし、店舗を略奪し、警察に石を投げつけた。AFP通信によると、警察は暴徒を解散させるために催涙ガスを使用したという。
あるデモ参加者はAFP通信に、「国連はハイチの内政に干渉するな。政府は軍事支援を求めるな」と訴えた。「支援は必要だが、軍隊は必要ない!」
AFP通信によると、デモ参加者数人が何者かに撃たれ、1人が死亡したという。デモ隊は警察を非難したが、警察官が撃ったかどうかは不明である。
アンリ(Ariel Henry)首相は先週、治安の悪化に歯止めがかからないとして、国際社会に支援を呼びかけた。
しかし、一部の市民は燃料補助金の廃止を決めたアンリ氏に辞任を要求している。アンリ氏は先月、予算が枯渇しているとして補助金の廃止を決め、国民に理解を求めたものの、物価は急騰し、多くの市民が街頭抗議をはじめ、一部地域では略奪も報告されている。
ポルトープランスにある同国最大の燃料ターミナルは9月中旬にギャングに占領され、ガソリンスタンドは燃料の確保に苦労している。そして国連は先週、コレラの再拡大に懸念を表明した。
ハイチでは2010年~2019年初頭まで続いたコレラの流行で1万人近くが死亡したと推定されている。
保健省によると、10月1日~9日の間に32人がコレラに感染し、少なくとも16人が死亡。さらに224人の感染が疑われているという。
また同省は超過密状態とされるポルトープランスの刑務所でもコレラ患者が確認されたと報告した。