◎ハイチの治安は昨年7月のモイーズ大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチの首都ポルトープランスなどで7日、政府・暴力・インフレに抗議するデモが行われ、数千人が参加した。
AP通信によると、ポルトープランスのデモ隊はアンリ(Ariel Henry)首相の辞任を要求したという。
時折銃声が聞こえる中、デモ隊は大声を上げて政府に抗議し、タイヤや瓦礫で道路を封鎖した。
ポルトープランスのデモを主催した団体はAP通信に、「役立たずのアンリは去らなければならない」と語った。「あの男に暴力と汚職を止めることはできません!」
ある抗議者は「暴力を止めろ!」と書かれた看板を掲げ、別の抗議者は食料と燃料価格の高騰に対処するよう訴えた。
APの取材に応じた男性は、「お金も仕事も夢も希望もない」と語った。「町はテロリストに破壊され、政府は何もせず、インフレは加速し、多くの国民が飢えています...」
警察はポルトープランスの政府庁舎に接近したデモ隊に催涙ガス弾を撃ち込み、解散させた。
報道によると北部と南部の港湾都市でも数百人規模のデモが行われたという。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2カ月ほど前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げており、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで500人を超え、数千人が国内避難民になった。
経済状況も悪化の一途をたどっており、米国から輸入される日用品の価格はこの数カ月で4倍以上となり、ガソリンは不足し、入手できたとしてもリッター約4ドル(550円)近くする。
インフレ率は30%に達し、日用品とガソリンが不足する中、国民は抗議デモを行うことが多くなった。
政府は6日、「事態の深刻さを認識している」と声明を発表。アンリ氏は極度の貧困を緩和するための社会プログラムや燃料の確保など、いくつかの措置を講じているとした。
またアンリ氏は国民に忍耐を求め、ギャングの暴力と政府転覆を目論む勢力のプロパガンダに屈しないよう呼びかけた。