◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は7日、ハイチ・首都ポルトープランスの病院に武装ギャングが乱入し、患者をさらったため、治療を中断したと発表した。
それによると、事件はポルトープランス中心部の病院で6日遅くに発生。銃で撃たれた患者が緊急搬送された直後に武装したギャング約20人がなだれ込んできたという。
MSFは声明で、「銃創を負った男性2人が緊急搬送されてきた直後に、武装ギャングが押し入り、医療スタッフに銃を突きつけた」と述べている。
武装ギャングは銃創を負った男性2人を拉致する際、医療スタッフに唾を吐きかけ、差別的な言葉を浴びせたという。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。
ハイチのMSFは近年、治安の悪化による同国での活動を縮小している。
今年1月にはギャングの支配下に置かれたポルトープランスのスラム街にある病院への支援を一時停止した。
昨年4月には別の病院を一時閉鎖。2021年6月には殺人事件が多発しているスラム街の病院が閉鎖された。