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ハイチ暫定大統領評議会がフィスエイム首相を解任、政治危機深刻化

暫定大統領評議会は記者会見でフィスエイム氏が国の安全と安定を回復するための指導力を発揮できていないとして解任を正当化し、30日以内に後任を選出すると強調した。
2024年11月16日/ハイチ、首都ポルトープランス、フィスエイム首相(AP通信)

中米ハイチの政治危機が一段と深刻化している。暫定大統領評議会は23日、フィスエイム(Alix Didier Fils-Aimé)首相の解任決議案を可決したと発表した。同評議会はギャング暴力を含む同国の混乱を収めるための措置としているが、米国など国際社会は深刻な懸念を表明している。政府内部の不協和音が表面化し、治安や選挙実施を巡る不安が高まっている。

評議会は記者会見でフィスエイム氏が国の安全と安定を回復するための指導力を発揮できていないとして解任を正当化し、30日以内に後任を選出すると強調した。また「この決定は国益にかなうものであり、国際的なパートナーも我々の決定を尊重すべきだ」と述べた。

フィスエイム氏は評議会によって首相に任命され、ギャング暴力や治安の悪化が続くハイチにおいて、安定化の象徴として米国をはじめとする国際社会からの支持を受けていた。しかし、評議会側は支持基盤の弱さや政策の不十分さを理由に解任を決断したとみられている。

一方で、この動きは国際的な懸念を引き起こしている。米国務省はフィスエイム氏の留任が治安回復に不可欠だとする声明を発表し、ギャングと結託する政治家には厳しい対応を取ると警告した。米国の支援はハイチでの治安維持や選挙準備の重要な要素となっており、首相解任はこれらの努力に逆風をもたらす可能性があるとの見方が出ている。

評議会内では意見が分かれている。サン・シル(Laurent Saint-Cyr)議長は評議会の任期が2月7日に終了する予定であることを理由に、安定を損なう行動には反対するとの声明を出している。評議会は9人のメンバーで構成され、そのうち7人に投票権があるが、フィスエイム氏の解任の是非を巡る内部の対立が勢力争いとして浮き彫りになった形だ。

ハイチは2021年のモイーズ(Jovenel Moise)大統領が暗殺されて以降、政治的空白と治安の悪化に苦しんできた。ギャングは首都ポルトープリンスの90%を支配し、2025年には国連推計で8100人以上が殺害されるなど暴力の激化が続いている。こうした状況下、評議会の動きは混乱をさらに拡大させるとの懸念が高まっている。

評議会は首相解任後、新政権の樹立を目指すとしているが、選挙実施の目処はいまだ不透明だ。ハイチでは今年、10年ぶりの総選挙が予定されているものの、暴力と政治的混乱が進む中でその実行可能性には疑問が残る。政治アナリストは評議会が任期満了後も統治機構を維持しようとした場合、更なる不安定化を招く恐れがあると指摘している。

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