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ハイチ治安部隊、首都中心部の地区をギャングから奪還

ギャングが支配してきたこの地域は、2024年3月の大規模な衝突以降、暴力と混乱に支配され、多くの市民が生活と仕事を失っていたが、治安回復への動きが出てきた。
2026年2月24日/ハイチ、首都ポルトープランス近郊のスラム街(AP通信)

ハイチの治安部隊が首都ポルトープランスの中心部に位置する地区をギャングから奪還した。現地メディアが25日に報じた。ギャングが支配してきたこの地域は、2024年3月の大規模な衝突以降、暴力と混乱に支配され、多くの市民が生活と仕事を失っていたが、治安回復への動きが出てきた。

事件当時、この地区は交通と商業がにぎわう拠点であったが、数百人に及ぶギャングが押し寄せて企業を破壊し、民間人を殺害、警察署を焼き払い、治安機関は撤退を余儀なくされた。その後2年近く、ギャングの支配下でこの地域は事実上「死の街」と化していた。

しかし2025年12月、国家警察は国連が主導する多国籍支援ミッションの一環として、ケニア軍兵士や民間警備会社の協力を得て、この地区の奪還作戦を開始した。これにより地域の実効支配が一部回復し、2月7日には焼失していた警察分署が修復・再開された。地元警察は「生活が確実に正常化に向かっている」と述べている。

分署再開後、露店商や乗合バスの運転手が徐々に戻り始め、小規模な商取引やバス運行が再開されている。元々この地域で働いていたタクシーの運転手はAP通信の取材に対し、「仕事が戻れば、家族を養うことができる」と期待を語った。また別のバス運転手は「暴力を振るった者たちを起訴し、被害者への国家支援が必要だ」と政府に対応を求めた。

一方で地域全体の治安回復には依然として課題が残る。この地域以外の幹線道路や地区は依然としてギャングの支配下にあり、物流や住民の往来に制約をもたらしている。49歳の女性はAPに、「南部へ行く主要道路はまだギャングが支配し、生活の回復には程遠い」と不満を示すとともに、追加の治安強化を望んでいる。

また、32歳の女性は市場で果物や野菜を並べているものの、「平和は一時的かもしれない」と不安を打ち明ける。彼女のパートナーは2年前にギャング暴力で行方不明となり、現在は子どもと共に仮設シェルターで暮らしているという。多くの家屋や店舗、学校は未だ再建されておらず、焼け跡が残る光景が広がる。

専門家はこの地区の奪還が「当局がギャング支配地域を取り戻せる」というメッセージを国内に送った一方で、持続可能な治安再建と社会復興策が不可欠だと指摘する。また、新たなギャング制圧部隊が4月に現在の任務を引き継ぐ予定だが、「テリトリー奪還後の更なる治安維持策とギャング構成員の扱いに関する明確な計画が欠けている」との懸念も示されている。

この地区ではわずかながら日常が戻りつつあるものの、安定的な復興と市民の安全・安心の確立はまだ道半ばである。

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