ハイチ暫定大統領評議会が解散、ギャング暴力続く中
評議会は2024年4月に発足し、混迷する国内政治の安定化と選挙実施を目指してきたものの、ギャングの退勢や政治的安定を成し遂げることはできなかった。
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ハイチの首都ポルトープランスで7日、9人の委員で構成されていた暫定大統領評議会が公式に解散した。評議会は2024年4月に発足し、混迷する国内政治の安定化と選挙実施を目指してきたものの、ギャングの退勢や政治的安定を成し遂げることはできなかった。
評議会は2021年にモイーズ(Jovenel Moise)大統領が暗殺された後、未曽有の政治危機に陥った同国で、暫定的な国家元首としての役割を担ってきた。この暗殺事件後、国会機能は停止し、全国的な選挙は長年にわたり実施されていない。評議会設立当時、首相が辞任し、国際的調整の下で暫定的な指導体制が構築され、それからほぼ2年近くが経過した。
評議会の解散直前には、ハイチを支援する米国が軍艦と沿岸警備隊の艦艇をポルトープランス沖へ展開し、米政府の政治的関与を示す動きがあった。専門家は米国の海軍展開は「西半球の政治形成に武力の脅威を用いる意志の最新の証拠」と指摘している。
評議会内部では1月下旬、最も影響力のあるメンバー2人がフィスエイム(Alix Didier Fils-Aimé)首相を解任する投票を行ったと発表し、米政府が求める安定維持路線に反発する動きも見られた。しかし、その解任は実際には実現せず、最終的に評議会全体が解散する方向へ転じた。
フィスエイム氏は評議会解散後に短い声明を出し、「評議会は安全と選挙の課題を念頭に置いた統治への道を開いた」と述べたものの、選挙実施の具体的な見通しについては触れなかった。評議会の解散は予定されていた2026年の総選挙実施と新政府移行への明確な一歩とはならなかった。
評議会は設立以来、ギャング排除と生活改善を公約してきたが、実際にはギャング勢力が首都の9割を支配し、治安悪化が続いた。解散時点で推定140万人以上が暴力によって国内避難を余儀なくされ、住民の不安が深刻化している。評議会内部でも汚職疑惑が持ち上がり、2024年には当局が複数の評議会委員を贈収賄容疑で告発した。
評議会解散後の政権構造は不透明で、国際社会や地域機関の間でも次に何が統治機構として機能するべきかで合意が得られていない。国連承認の治安部隊は展開が遅れ、ケニア警察を中心とした多国籍ミッションへの移行が進行中だが、十分な規模には至っていない。
ハイチでは2016年以降、選挙が実施されていない。総選挙は複数回延期され、有権者登録や安全な投票環境の整備は困難を極めている。評議会の解散は移行期の終わりを示すものの、新たな合法的指導体制構築への道筋は依然として見えないままである。
国内の政治停滞と暴力支配の継続は国民生活の混乱と国際支援の増大を招き、ハイチが長年にわたる政治・治安危機から脱するための課題の大きさを浮き彫りにしている。
