◎ハイチの治安は昨年7月のモイーズ大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊した。
ハイチのメディアによると、首都ポルトープランスの警察は2カ月ほど前にギャングに占領された市内の燃料ターミナルを奪還する作戦を開始したという。
AP通信は警察関係者の話を引用し、「当局はG9&Familyを追放する作戦を開始した」と報じている。
このギャングはアンリ(Ariel Henry)首相の辞任を要求している。
報道によると、ポルトープランス市内では3日に激しい銃撃戦が繰り広げられたという。しかし、警察がギャングを追放したかどうかは不明である。
AP通信の取材に応じた警察関係者は、「我々は勝ったが、戦いはまだ終わっていない」と述べている。
首相府は今のところ声明を発表していない。
地元ラジオ局は4日、「燃料ターミナルのある地域で戦闘は確認できない」と報じた。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは4カ月ほど前からG9&Familyなどの武装ギャングが地域の支配権をめぐって戦闘を繰り広げているとみられ、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は数百人に達し、10万人以上が避難民になった。
経済状況も悪化の一途をたどっており、米国から輸入される日用品の価格はこの数カ月で4倍以上に値上がり、ガソリンの入手も困難になった。
燃料ターミナルが占領された影響でガソリンスタンドは閉鎖を余儀なくされ、医療機関はコレラの蔓延に対処できず、数千人の患者が治療を受けられずにいる。
米国とカナダはハイチ警察を支援するという名目で装甲車や装備を送っている。
しかし、国連安保理はアンリ首相のPKO派遣要請には応じていない。
安保理は2週間前、ハイチの暴力と犯罪行為の即時停止を求める決議案を採択し、G9&Familyのリーダーである通称「バーベキュー(Jimmy "Barbecue" Cherizier)」に金融制裁を科した。
さらに米財務省は4日、ハイチの上院議長と元上院議員がその地位を悪用し、ギャングと協力して麻薬取引を行い、暴力行為を指示したとの疑惑を受け、新たな制裁を発表した。