ハイチ、10年ぶりの総選挙へ、政党・候補者の登録手続き始まる
登録期間は10日間で3月12日までとされており、登録手続きの開始は同国における民主的プロセスの復活に向けた重要な一歩とみなされている。
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ハイチの暫定政権は2日、約10年ぶりとなる総選挙に向けて、政党および候補者の登録手続きを開始した。登録期間は10日間で3月12日までとされており、登録手続きの開始は同国における民主的プロセスの復活に向けた重要な一歩とみなされている。一方で深刻な治安の悪化が続く中、選挙の実行可能性には疑問が残る。
首都ポルトープランスでは重装備の兵士や警察官が選挙管理委員会会の本部を包囲する中、主要政党の関係者が書類を受け取りに訪れた。新党THA(Tools for Another Haiti)の代表はAP通信の取材に対し、暫定政権を厳しく批判した。また、「暫定政権は管理も監視もなく、何でも好き勝手にできる」と語り、政権交代が必要と訴えた。
ハイチでは2021年7月にモイーズ(Jovenel Moise)大統領が暗殺されて以降、政治的な混乱とギャング勢力による暴力が激化している。現在、ギャングはポルトープランスの90%を支配し、中央部の広範囲にも勢力を拡大しているとされる。治安の混乱は国民生活に深刻な影響を与え、2025年には約5900人が殺害され、1万人以上が負傷、約140万人が避難を余儀なくされたと国連が報告している。
暫定政権は米国の支援を受けて選挙プロセスを進めている。フィスエイム(Alix Didier Fils-Aimé)首相がその中心人物で、2024年に設立された暫定大統領評議会は2月7日に法令に基づいて解散し、フィスエイム氏が政権運営を担う体制となった。同氏は8月末に大統領選を含む総選挙を実施し、過半数を獲得する候補が出なければ12月初旬に決選投票を実施する計画を打ち出しているが、治安の改善が進んでいないため実現性に疑念が残る。
THAの代表は「現在の治安状態で選挙を行うことは不可能だ」と述べ、ギャングが支配する地域では候補者が安全に選挙運動を行うことができないと指摘した。また、主要道路が封鎖されているため、党員との会合にはボートやヘリコプターを利用せざるを得ない状況だと語った。
一方、選管は登録開始を大きな前進と位置づけ、「民主的秩序を取り戻すためには選挙で代表を選ぶ必要がある」と強調した。選管は治安が十分に整うのを待つことなく政党登録を進める方針を示している。
治安部門では国家警察の長官が選挙を安全に実施するための計画を進めている。治安維持の取り組みは国連が支援するケニア主導の治安維持部隊のもとで進められてきたが、兵力・資金不足が課題となっている。将来的には新たなギャング制圧部隊がこれらの任務を引き継ぐ見込みである。
ハイチでの登録手続き開始は長年途絶えていた民主的な選挙への復帰を目指す試みである。しかし、ギャングが首都の大部分を掌握する未曾有の治安状況下で選挙を行えるかは不透明な情勢である。
