◎聖職者12人と子供5人は、ハイチ東部のクロワ・デ・プーケ地区を支配するギャング「400マウォゾ」に誘拐された。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ハイチの法務大臣は10月16日に米国で活動する17人を誘拐したギャングが身代金1,700万ドル(約20億円)を要求していると明らかにした。
聖職者12人と子供5人は、ハイチ東部のクロワ・デ・プーケ地区を支配するギャング「400マウォゾ」に誘拐された。
400マウォゾは今年4月にもカトリックの聖職者を誘拐し身代金を要求した。地元メディアによると、聖職者は解放されたが、身代金が支払われたかどうかは明らかにされていないという。
今回誘拐された17人は米国民16人とカナダ人1人。男性5人、女性7人、子供5人で、WSJによると子供の年齢は生後8か月、3歳、6歳、14歳、15歳だという。
聖職者12人は米オハイオ州に本拠を置く非営利組織クリスチャンエイドミニストリーで働いていた。この組織はハイチの子供たちに避難所、食料、衣料、教育の資金などを提供している。
WSJによると、一行は首都ポルトープランスから東部の孤児院に向かう途中、ガンティエという町で400マウォゾの襲撃を受けたという。ガンティエは400マウォゾが支配するクロワ・デ・プーケ地区にある。
ワシントン・ポスト紙は誘拐された1人がWhats appに投稿したメッセージを報じた。「私たちのために祈ってください!!私たちと運転手は人質にされています...」
ホワイトハウスは18日の定例会見で、国務省と連邦捜査局(FBI)がハイチ当局を支援していると述べた。
国務省のネッド・プライス報道官は記者団に、「米当局はハイチの国家警察、クリスチャンエイドミニストリー、被害者の家族や関係者と絶えず連絡を取り合っている」と語った。「国務省は16日以来、この事件を最優先事項として扱っています。私たちは事件の迅速な解決を図るためにハイチと連携し、できる限りのことをします」
国連のステファン・ドゥジャリック報道官は、ギャングによる暴力の増加がハイチの救援活動に影響を与えていると懸念を表明した。「人道援助にあたっている国連の人道コーディネーターは、非常に深刻な燃料不足と物資の供給減を報告しています...」
ドゥジャリック報道官は、「ハイチ政府は公共の安全を確保をするために警察組織の改革と強化に向けた努力を加速させる必要があり、誘拐事件を含む国内で発生した全ての犯罪を捜査しなければならない」と述べた。
一方、クリスチャンエイドミニストリーの元ハイチ責任者はCNNニュースのインタビューの中で、「誘拐犯はクリスチャンエイドミニストリーに身代金を支払うよう命じた」と語った。
ハイチは世界で最も誘拐発生率の高い国のひとつであり、ハイチの国連統合事務所によると、2021年の年初から8月までに321人が誘拐されたという。2020年に誘拐された個人は234人だった。
ハイチは7月のジョブネル・モイーズ大統領暗殺事件と8月に発生したM7.2の大地震の影響で混乱状態に陥っており、10月18日には労働組合が犯罪発生率の上昇に抗議するデモを各地で開催した。
地元メディアによると、首都ポルトープランスやその他の都市の公共交通機関事務所は軒並み閉鎖されたという。公務員の大多数は自宅にとどまり、一部は主要地域にバリケードを設置したと伝えられている。
デモに参加したタクシー運転手の男性はAP通信の取材に対し、「犯罪者は地域の治安に深刻な影響を与えています」と語った。「当局は取り締まりを強化してください。誘拐犯や殺し屋を放置しないでください」
イリノイ州の共和党員であるアダム・キンジンガー下院議員はCNNニュースのインタビューの中で、「米国は誘拐犯と交渉すべきだが、身代金は支払うべきではないと信じている」と語った。「当局は誘拐犯を追跡し、身代金を支払うことなく交渉が可能かどうかを確認するためにあらゆることをしなければなりません。軍やFBIの出動も考慮しなさい。17人を取り戻すために必要なことは何でもしなさい」