◎ハイチの市民は今年7月の大統領暗殺事件と8月に発生した大地震の混乱、そしてギャングの暴力と誘拐に悩まされている。
10月24日、ハイチの首都ポルトープランスで進行中の燃料不足はさらに悪化し、各地で暴動や略奪行為が発生した。
ハイチの市民は今年7月の大統領暗殺事件と8月に発生した大地震の混乱、そしてギャングの暴力と誘拐に悩まされており、ここ数カ月、地域の経済活動はほぼ停止している。
地元メディアによると、燃料を輸送するトラック運転手の多くがギャングに誘拐された結果、首都や主要都市のガソリンスタンドはほぼ枯渇し、地域経済と治安に深刻な影響を与えているという。ディーゼル燃料は国の脆弱な電気インフラを補う発電機の燃料として広く利用されている。
市内の主要な燃料貯蔵施設は複数のギャングの支配地域内にあり、一部のギャングは燃料トラックに法外な通行料を要求していると伝えられている。
ハイチのギャングは8月の地震以来活動を活発化させており、東部地区を支配する「400マウォゾ」と呼ばれるギャングは先週、米国の聖職者グループ17人を誘拐した。400マウォゾは人質1人あたり100万ドル(約1億円)の身代金を要求し、支払いを拒否すれば人質を殺すと警告している。
ポルトープランスのデルマス地区にあるガソリンスタンドは燃料をすべて使い切り、スタンドの管理者は抗議と暴動に直面した。地元メディアによると、警察は威嚇射撃で群衆を分散させたという。
燃料不足は企業の活動にも影響を与えている。報道によると、携帯電話ネットワークの通信状態は設備の維持に必要な燃料が切れた影響で低下したという。
一方、ポルトープランス最大の小児科病院であるセントダミアン病院の関係者は24日、人工呼吸器や医療機器の維持に必要な発電機の燃料は3日以内に枯渇するとツイートした。関係者によると、病院本体の運営は太陽光発電で何とか維持できるという。
セントダミアン病院の管理チームを統括するデンソー・ゲイ氏はAP通信の取材に対し、「燃料はコロナの重症患者に対する人工呼吸器やその他の緊急手術に必要不可欠」と述べた。
国連児童危機(ユニセフ)は24日の声明でハイチの窮状に懸念を表明し、「燃料不足は子供と女性数百人を殺す可能性がある」と警告した。
ハイチのユニセフ副代表であるラウル・ド・トルシー氏は声明の中で、「いくつかの病院はユニセフに支援を求める嘆願書を送ってきた」と述べた。「出産間近の女性と新生児には電気と適切な医療ケアが欠かせません...」
ユニセフは以前の声明で、ポルトープランスと周辺地域の病院向けの燃料契約(約38,000リットル)を地元業者と締結したと発表していた。しかし、地元業者はその後、燃料貯蔵施設から首都や他の州に燃料を輸送することはできないと宣言した。
ユニセフによると、契約を結んだ業者を含む多くの輸送用トラックがギャングの管理下に置かれ、一部の運転手は人質にされたという。
10月21日には数百人の抗議者がポルトープランスの幹線道路を封鎖し、タイヤを燃やして燃料不足とギャングの暴力を非難した。
デモに参加した教師のアレクサンドル・サイモン氏はAP通信に、「ハイチ人が直面している悲惨な状況を世界に伝えたい」と述べた。「飢えている子供がたくさんいます。ハイチにはガソリンも仕事もありません。政府は何をしているのですか?」