◎米政府は一連の大混乱に懸念を表明し、関係者に落ち着くよう繰り返し要請している。
中米グアテマラの大統領選決選投票に異議を唱えた検察庁が9月30日、首都グアテマラシティにある左派のアレバロ(Bernardo Arévalo)氏の選挙事務所を家宅捜索した。
選挙管理委員会は先月末の決選投票でアレバロ氏の勝利を宣言。得票率はアレバロ氏が58%、右派のトーレス(Sandra Torres)候補が37%であった。
トーレス氏は「汚職が蔓延するグアテマラの政界を象徴するような存在」と批判を浴びている。
トーレス氏は票の集計方法に異議を唱えて裁判所に告訴状を提出。最高裁はこれを認めなかったが、検察が強制捜査に踏み切り、左派と右派の対立に発展。未曽有の大混乱に陥った。
検察によるアレバロ氏陣営の家宅捜索はこれで4回目。
現地メディアによると、検察の強制捜査に反対する最高裁の判事が検察官ともみ合いになったという。
選挙管理委員会およびその他の選挙オブザーバーは集計に不正があったというトーレス氏の主張を否定。アレバロ氏を支持する有権者は現職のジャマテイ(Alejandro Giammattei)大統領が検察の強制捜査を指揮していると主張している。
最高裁判事のひとりは30日、アレバロ氏の事務所から書類を持ち出そうとする検察官にしがみつき、「やめなさい」「公正な選挙を力で覆さないで」と懇願した。
判事は地元メディアの取材に対し、「8月の選挙は公正なものであり、有権者の意思を反映している」と語った。
この騒動の中、判事は検察官に突き飛ばされ、尻もちをついた。
米政府は一連の大混乱に懸念を表明し、関係者に落ち着くよう繰り返し要請している。
左派は家宅捜索を「ジャマテイ大統領の圧政」「検察ギャングによる不正捜査」と呼び、右派はアレバロの氏を「左翼ゲリラの工作員」と呼ぶ始末である。
現検察総長は2021年の汚職捜査を政治的な理由で中止したとして米政府から制裁を課されている。
検察庁はアレバロ氏の選挙事務所が複数の不正に関与したと指摘し、捜査を続ける方針だ。