グアテマラ政府が非常事態宣言、西部2自治体で暴力激化
アレバロ大統領は武装勢力による連続襲撃を受けて非常事態を宣言、期間は15日間としている。
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グアテマラ政府は14日、西部ソロラの2つの自治体の治安悪化を受け、非常事態を宣言した。
アレバロ(Bernardo Arévalo)大統領は武装勢力による連続襲撃を受けて非常事態を宣言、期間は15日間としている。アレバロ政権下での非常事態宣言は初めて。
宣言の対象となった地域では12月13日から武装勢力が軍の哨戒所や警察署を襲撃し、道路を封鎖したり、バスを乗っ取ったりするなどの事件が発生、暴力が激化していた。これらの襲撃により、治安要員など少なくとも5人が死亡した。
アレバロ氏は声明で、「武装勢力が治安部隊を撤退させ地域の支配を狙っている」と述べ、暴力行為は長年続いた地域住民同士の紛争によるものではなく、組織的な犯罪行為であると強調した。襲撃に関与した者たちは迷彩服や軍装備に類似した防弾ベストを着用し、高性能の武器を携行するなど準軍事的な装いで行動していたという。
アレバロ氏はソロラが重大な危機に直面していると述べ、治安体制の強化を約束した。
当局はこの武装勢力を、恐喝や麻薬密売などの組織犯罪に関与するグループとみなしており、地域社会に深刻な脅威を及ぼしていると説明している。非常事態宣言により、屋外での集会、公のデモ、イベントの開催に制限が課され、無許可の集会については武力での取り締まりが可能となる。また、抗議活動や公共サービスに影響を与える行為、武器の所持も制限される。
治安当局は今回の暴力が両自治体間の水争いなどの住民間対立とは無関係であるとしている。実際、これら地域では過去数十年にわたり水資源や道路を巡る争いがあり、死者を伴う衝突が複数回発生してきた歴史があるが、今回の事件は明確に武装勢力による軍や警察への攻撃として区別されている。アレバロ氏は政府が地域住民を見捨てない姿勢を示すため、治安維持のための追加措置を講じる考えも示した。
内務省も声明を出し、非常事態宣言により、警察・軍の巡回強化や道路封鎖の解除、住民保護を優先した治安活動が可能になると説明した。一方で、暴力の背景にある根深い犯罪組織の影響力や社会的不安要因の解消には時間が必要だとの見方もあり、短期的な治安対策のみならず長期的な地域開発政策の必要性が指摘される。
今回の非常事態宣言はグアテマラ国内における犯罪対策が正念場を迎えていることを示す象徴的な出来事となった。
