◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
中米ハイチの首都プルトープランスで武装ギャングがいくつかの地区を包囲し、警察署などへの攻撃を開始した。現地メディアが5日に報じた。
それによると、ポルトープランスの大部分を支配するギャング「G9&Family」の指導者である元警察官の通称「バーベキュー(Jimmy "Barbecue" Cherizier)」と対立するギャングが家屋を燃やしたり、警察署に向かって銃を乱射したという。
警察とギャングの銃撃戦は数時間続いた後、収束した。
AP通信によると、銃撃戦はポルトープランスの国際空港の南西に位置する3つのスラム街で発生したという。
APの取材に応じた男性は「武装した男たちが家屋を燃やし、警察官に向けて発砲しているところを見た」と語った。「奴らは目につくものを全て燃やすと叫び、パトカーをハチの巣にしました...」
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの推定80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
銃撃戦が発生した3つのスラム街は政府庁舎が立ち並ぶエリアに近く、多くの商店が軒を連ねていたものの、現在はゴーストタウンのようになっている。
APによると、2日未明に銃声が止んだものの、数時間後に再び騒がしくなり、避難する人もいたという。死傷者の有無は不明。国家警察はこの銃撃戦に関する声明を出していない。
スラム街近くの地区から避難したという男性はAPに、「ギャングは路上に放置されていた遺体を収容していた警察官を撃った」と述べた。
地元の人権団体などは2日、これらの地区から避難した市民は過去24時間で数百人に達し、その多くが着替えすら持っていない状態だと警告した。
先月末発足した暫定評議会はベリゼール(Fritz Belizaire)元スポーツ相を首相に選出したものの、治安が回復する見通しは全く立っていない。