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▽ケンスコフはハイチの中でも比較的裕福な地域とされる。
2025年2月3日/ハイチ、首都ポルトープランス、ギャングの攻撃から逃れた市民(AP通信)

中米ハイチのギャングが首都ポルトープランス近郊のケンスコフで猛威を振るい、数万人が避難を余儀なくされている。

ケンスコフの市長は3日、AP通信のインタビューで、「ギャングは民家に押し入り、金を奪い、女性をレイプし、町全体を支配下に置いている」と語った。

ケンスコフはハイチの中でも比較的裕福な地域とされる。

ギャングは1月27日にケンスコフへの攻撃を開始。政府と国家警察はこの数日前にポルトープランスとその周辺地域でギャングによる攻撃のリスクが高まっていると警告していたが、具体的な地名には言及していなかった。

市長はAPに「複数人が死亡したという情報があるが、正確な死傷者数は分かっていない」と語った。

それによると、犠牲者の多くは市の入り口や郊外で生活する農家で、子供も含まれているという。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。中部アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

この結果、100万人以上が住まいを失い、その場しのぎの不衛生なテントやシェルターで避難生活を余儀なくされている。ギャング紛争が始まって以降、国を離れた市民は数十万人と推定され、一部は米国を目指している。

国連事務総長は先月、ギャングが政府庁舎を含むポルトープランス全土を制圧する可能性があると警告した。

政府と警察はケンスコフへの攻撃に関する声明を出していない。地元メディアは政府関係者の話しとして、「警察もケンスコフで何が起きているか把握できていない」と報じた。

ケンスコフ中心部の住宅街から逃れたという45歳の男性はAPの取材に対し、「少なくとも12人の遺体を見た」と語った。

国際移住機関(IOM)は3日、ケンスコフへの攻撃が始まって以来、1600人以上が住居を失ったと明らかにした。

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