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2階建てバスと貨物列車が衝突、10人死亡、55人負傷 メキシコ

事故はメキシコシティ北西部の踏切で8日未明に発生。2階建てバスの側面に列車が突っ込んだ。
2025年9月8日/メキシコ、首都メキシコシティ、列車と衝突した2階建てバス(AP通信)

メキシコの首都メキシコシティで2階建てバスと貨物列車が衝突した事故について、当局は8日、少なくとも10人が死亡し、55人が負傷したと明らかにした。

事故はメキシコシティ北西部の踏切で8日未明に発生。2階建てバスの側面に列車が突っ込んだ。

キシコシティ消防局はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「バスの乗客とみられる10人が死亡、55人が負傷し、病院に搬送された」と書いた。運転手の安否は不明である。

地元メディアによると、負傷者たちは市内の各病院に搬送されたという。

バス会社はコメントを出していない。貨物列車を運行するカンザスシティー・サザン・メキシコ(KCSM)は事故を確認し、犠牲者と遺族に哀悼の意を表した。

またKCSMは「社員が現場に赴き、地元当局の捜査に協力している」と述べた。

SNSで拡散した動画には、線路にゆっくりと進入したバスの側面に列車が突っ込む様子が映っていた。

事故を目撃したというガソリンスタンドの従業員はAP通信の取材に対し、「列車は踏切に近づいた時、いつものように汽笛を鳴らし、その後、爆弾が落ちたような音がした」と語った。

地元メディアによると、この踏切に遮断機はついていないようだ。

メキシコにおける踏切での車と列車の衝突事故は、交通事故の中でも特に重大な被害をもたらす事例として問題視されている。その背景には、インフラの不備、運転者の行動、制度的課題が複合的に存在している。

第一に、踏切設備の不十分さが事故多発の大きな要因である。地方や都市近郊の多くの踏切は遮断機や警報機が設置されておらず、運転者が列車の接近を視認して自ら判断しなければならないケースが多い。夜間や視界の悪い場所では列車を見落とす危険が高まり、衝突事故につながる。

第二に、運転者の交通マナーや意識の問題がある。急ぎのために列車接近中でも無理に渡ろうとする車両や、警報を無視して踏切に進入するケースが後を絶たない。スピードの出しすぎや大型車両の立ち往生も重大事故の原因となっている。

第三に、鉄道網と道路網の整備の不均衡も事故の背景にある。貨物列車を中心に鉄道輸送は依然として重要な役割を果たしているが、都市化の進展に伴い踏切周辺の交通量は急増している。それにもかかわらず、高架化や地下化といった安全対策は十分に進んでいない。

さらに、交通当局の監視体制や啓発活動の不足も問題を深刻化させている。違反に対する取り締まりは限定的で、国民への安全教育も十分とは言えない。また、事故発生後の救急体制の遅れが被害を拡大する一因となっている。

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