メキシコ当局、チワワ州の元知事を資金洗浄容疑で逮捕
ドゥアルテは制度的革命党(PRI)所属で、2010年から2016年までチワワ州の知事を務めた。
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メキシコの司法当局は8日、北部チワワ州の元州知事であるドゥアルテ(Cesar Duarte)容疑者を資金洗浄の容疑で逮捕したと発表した。
ドゥアルテは制度的革命党(PRI)所属で、2010年から2016年までチワワ州の知事を務めた。
司法当局によると、容疑者は公金を流用し、資金を洗浄した疑いが持たれている。具体的には、2011年から2014年にかけておよそ9600万ペソ(当時の為替で約650万米ドル)を州の予算から不正に流用したとされる。
今回の逮捕は容疑者が執行猶予付きで保釈されていた状態で行われた。保釈中にもかかわらず、改めて連邦捜査の対象となったことから、地元メディアは当局が「在任中の不正送金および洗浄行為」に関する決定的な証拠を得たと報じている。
容疑者は2020年7月に米フロリダ州マイアミで逮捕、2022年6月に送還、その後横領罪などで起訴されていた。今回の資金洗浄容疑はそれ以前とは別の、より広範で構造的な不正の疑いに関するものとされる。
当局はこの不正が一個人にとどまらず、公金の組織的な流用および資産の隠匿、洗浄という広がりをもつ可能性を示しており、今後の捜査および司法手続きにおいて厳格な対応を示唆している。
関係者によると、容疑者は最高警備の刑務所へ移送される予定だという。
今回の逮捕は長年にわたってメキシコ政界を揺るがしてきた汚職問題の象徴的な事例のひとつとなる可能性がある。過去にもメキシコでは、首長や高官が公金横領や資金洗浄で訴追されてきたが、国家レベルでの司法追及は困難とされてきた。今回、送還と再逮捕という形で実現したことは、反汚職を掲げる当局の決意と公的資金の透明性をめぐる社会の関心の高まりを映している。
一方で、容疑者はこれまで容疑を否認しており、今後の裁判でも無罪を主張する可能性がある。しかし、捜査当局が提示する証拠の内容次第では有罪判決、さらには収賄関係者や共犯者のさらなる追及につながる可能性もある。
