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ホンジュラス前大統領釈放、トランプ恩赦、麻薬犯罪で懲役45年

恩赦は12月1日に発効し、エルナンデス氏は翌朝、釈放された。
2022年2月15日/ホンジュラス、首都テグシガルパの警察本部、エルナンデス容疑者(Getty Images/AFP通信)

ホンジュラスのエルナンデス(Juan Orlando Hernandez)前大統領がトランプ(Donald Trump)米大統領の恩赦を受け、米連邦刑務所から釈放されたことが分かった。現地メディアが2日に報じた。

それによると、恩赦は12月1日に発効し、エルナンデス氏は翌朝、釈放されたという。

エルナンデス氏は2024年にニューヨークの連邦裁判所で、麻薬密輸組織から賄賂を受け、約400トンのコカインを米国へ密輸することを手助けした罪で懲役45年の実刑判決を言い渡された。控訴審などを経た後、判決が確定していた。

トランプ氏は恩赦について、「多くのホンジュラス国民から依頼を受けた」「不当な扱いだった」と主張。「私が事実を見直して決定した」と説明した。

長年にわたり、エルナンデス氏は自らの潔白を主張し続けてきた。米当局と協力し麻薬撲滅にあたったとする彼の言い分に対し、裁判所は「派手な見せかけ」に過ぎず、実際には国家権力を悪用して密輸組織を保護していたと判断した。

また連邦判事は「地位や身なりが良いからといって、権力を使った犯罪が許されるわけではない」と断じていた。

エルナンデス氏の釈放は米国の刑務所記録でも確認されており、妻は自身のSNSに声明を投稿。「約4年にわたる苦しみと長い待ち期間を経て、夫が再び自由の身になった」と感謝の意を表した。

一方、母国ホンジュラスでは司法当局が「恩赦であっても、汚職疑惑などについては引き続き調査し、必要なら起訴する」とする意向を示しており、エルナンデス氏は帰国したとしても安心できないとの見方が出ている。

また、この恩赦は同国の大統領選挙と重なった。これはエルナンデス氏の所属政党の候補への支持を示す形と受け止める向きがある。

こうした流れを受け、国際社会からは「麻薬犯罪に関与した人物への恩赦は、麻薬撲滅の取り組みに逆行するのではないか」との批判も根強い。恩赦に関する合法性や倫理性、そしてその裏にある政治的意図を巡って、今後も議論が続きそうだ。

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