▽ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
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国連のハイチ担当であるオニール(William O'Neill)氏は11日、国際社会が一致団結すれば、同国の危機を解決することができるという見方を示した。
オニール氏は国連本部の記者団に対し、「よく訓練され、装備の整った国際警察が2500人か3000人くらいは必要であり、その規模の部隊をハイチに送ることは十分可能である」と語った。
国連安全保障理事会は資金不足で人員と装備の不足が深刻化しているハイチ国連支援ミッションをサポートするため、現地に事務所を設置する安全保障支援策について討議する予定である。
一部の国は支援ミッションを平和維持活動(PKO)に格上げするよう求めているが、ロシアと中国が難色を締めている。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは3年前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
この結果、100万人以上が住居を失い、その場しのぎの不衛生なテントやシェルターで避難生活を余儀なくされている。ギャング紛争が始まって以降、国を離れた市民は数十万人と推定され、一部は米国を目指している。
ハイチ政府は2022年以来、緊急の国際安全保障支援を求めており、最近では、人員不足の国家警察を強化するため、安保理にPKOを要請したが、ロシアと中国が反対した。
オニール氏はこの支援策について、「ポルトープランスと周辺の農村地帯を移動するために必要な装備、ヘリコプター、装甲車など、重要な物資の供給を支援することができる」と述べた。
またオニール氏はハイチに流入する銃器の供給元となっている米国や周辺国に対し、取り締まりを強化するよう促した。
ハイチ国連支援ミッションには約800人のケニア国家警察を中心に、ジャマイカ、グアテマラ、エルサルバドルなどの兵士や警察官が参加している。