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ハイチギャング紛争、チャド部隊が到着、新多国籍チーム発足へ


今回派遣されたチャド部隊は国連が後方支援を担う「ギャング制圧部隊」の一員として活動する。
2024年9月21日/ハイチ、首都ポルトープランス、周囲を警戒するジャマイカの警察官(AP通信)

中米ハイチの深刻な治安悪化に対応するため、国連が支援する新たな多国籍部隊の一部として、アフリカ中西部・チャドからの部隊が4月1日、首都ポルトープランスに到着した。これは、これまでのケニア主導の国連支援ミッションに代わる新体制のもとで初めての外国部隊の展開であり、国際社会による関与が新たな段階に入ったことを示している。

今回派遣されたチャド部隊は国連が後方支援を担う「ギャング制圧部隊」の一員として活動する。この新部隊は従来のミッションが人員不足や装備の欠如で十分な成果を上げられなかった反省を踏まえ、規模と権限を拡大したものだ。最終的には5500人規模の部隊編成が計画され、治安回復に向けた中核的役割を担う。

ケニア主導の部隊は当初2500人規模を想定していたが、実際の展開は1000人程度にとどまり、資金や装備の不足も深刻だった。そのため、ギャング勢力の拡大を食い止めるには至らず、国際社会の対応の限界が指摘されていた。

新たな部隊は従来と異なり、ギャング構成員の拘束権限を持つ点が大きな特徴である。これにより、単なる警備支援にとどまらず、より直接的な治安維持活動が可能となる見通しだ。また、ジャマイカやグアテマラなど複数の国が参加を表明し、段階的に兵力が増強される計画である。

ハイチでは近年、武装ギャングによる暴力が急速に拡大している。ポルトープランスの約9割がギャングの支配下にあるとされ、殺人や誘拐、略奪が日常化している。2025年から2026年初頭にかけては5500人以上が死亡し、140万人以上が避難を余儀なくされるなど、人道危機も深刻化している。

地方でも暴力が拡大し、中部アルティボニット県では住民が虐殺される事件が相次いでいる。国家警察は装備や人員の不足から十分に対処できず、自警団も効果的な抵抗ができない状況が続いてきた。

こうした中での国際部隊の再編は暫定政権の要請に基づくもので、国家機能の崩壊を防ぐ最後の手段と考えられている。ただし、過去の国際介入は必ずしも成功しておらず、長期的な安定につながるかは不透明だ。資金確保や各国の派兵継続の意思、さらには民間人への影響など、多くの課題が残されている。

チャド部隊の到着はこうした状況の打開に向けた試金石となる。新部隊が実効性を持ってギャング勢力を抑え込み、治安回復と政治的安定への道筋をつけられるかが今後の最大の焦点となる。国際社会の関与が強化される中で、ハイチが長年の混乱から脱却できるかどうかが問われている。

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