メキシコ・ユカタン半島の高速道路で交通事故、15人死亡
事故原因は明らかになっておらず、警察が調べている。
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メキシコ南東部ユカタン半島の高速道路で事故があり、15人が死亡した。現地メディアが14日に報じた。
それによると、事故はメリダとカンペチェを結ぶ高速道路で13日に発生。大型トラック、乗用車、タクシーの乗客、計15人が死亡したという。
ユカタン州知事はX(旧ツイッター)に声明を投稿。犠牲者と遺族に哀悼の意を表した。
ソーシャルメディアで共有された動画には複数の車が炎上する様子が映っていた。
事故原因は明らかになっておらず、警察が調べている。
首都メキシコシティでは10日、市中心部の高速道路の下を走る幹線道路で石油タンクローリーが爆発し、20台を超える車が巻き込まれ、8人が死亡、約90人が重軽傷を負った。
メキシコでは長年にわたり、交通事故が深刻な社会問題になっている。道路インフラの不備、交通ルールの遵守不足、車両整備の遅れ、さらには飲酒運転の多さなどが複合的に影響しており、年間の死亡者数や負傷者数はラテンアメリカ諸国の中でも高水準にある。世界保健機関(WHO)の統計によると、メキシコの交通事故による死亡率は先進国より高く、公共の安全を脅かす主要な要因の一つとされている。
大きな特徴として、道路の整備状況の格差が挙げられる。メキシコシティや主要都市では高速道路や環状道路が整備されている一方で、地方の道路は舗装が不十分で、標識や照明が欠如していることが多い。そのため、地方では夜間の走行中に事故が発生するケースが頻発している。また、大型トラックやバスが地方道路を頻繁に走行しており、これらが関与する事故は被害規模が大きくなる傾向がある。
さらに、交通ルールの遵守意識の低さが事故多発の背景にある。スピード違反や信号無視は日常的に見られ、シートベルトやヘルメットの着用率も十分とは言えない。特に二輪車利用者は事故リスクが高く、都市周辺での死亡事故の多くに関わっている。加えて、飲酒運転や薬物使用後の運転も少なくなく、週末や祝日に死亡事故が集中する傾向がある。
公共交通機関の安全性も課題である。都市部のバスやミニバンは過密運行され、整備不良や無理な運転によって事故を引き起こす例が後を絶たない。地方では非公式の乗合バスが広く利用されているが、安全基準が徹底されておらず、重大事故につながるケースも多い。
政府はこうした状況に対応するため、交通安全キャンペーンの実施、警察による取り締まり強化、飲酒運転検問の増加などを行ってきた。また近年では、交通事故による死傷者削減を目的にビジョンゼロ型の取り組みを都市部で進め、道路設計や歩行者保護に重点を置いた政策も導入されている。しかし、制度の実効性は十分ではなく、汚職や資金不足が取り組みを妨げている。
メキシコの交通事故問題は単なる運転マナーの欠如にとどまらず、インフラの脆弱さ、法執行の限界、社会文化的要因が絡み合った複雑な構造を持っている。今後は道路整備と教育、厳格な法執行を並行して進めなければ、大幅な改善は難しい状況にある。