恩赦のホンジュラス前大統領、トランプ氏に謝意、禁固45年無効に
エルナンデス氏は2024年3月、米ニューヨークの連邦裁判所で実刑判決(禁固45年)を受けた。
(Elmer-Martinez/AP通信).jpg)
ホンジュラスのエルナンデス(Juan Orlando Hernandez)前大統領が3日、米国での収監を終えて釈放された後、初の公の発言として、トランプ(Donald Trump)米大統領に感謝の意を示した。
エルナンデス氏は2024年3月、米ニューヨークの連邦裁判所で実刑判決(禁固45年)を受けた。判決内容は数百トンに及ぶコカインを米国に密輸するために麻薬組織を支援し、その見返りに賄賂を受け取ったというもので、同時に武器所持なども含めたものであった。
裁判所はこれを「米国向けコカイン輸送のための巨大な組織犯罪」と断じ、約400トンのコカイン流通への関与を認定していた。
ところが今月、トランプ氏はエルナンデス氏に対して「全面かつ完全な恩赦」を与えると表明。これにより収監先のウェストバージニア州の連邦刑務所から釈放され、自由の身となった。
釈放後、エルナンデス氏はX(旧ツイッター)に声明を投稿した。
「私は不当にも有罪判決を受けた。そして今、自由を得た今も言う。私は無実だ。」
「あなたは私の人生を変えた、閣下。私は決してそれを忘れない。」
この謝辞について、トランプ氏は記者団に対し「ホンジュラスの人々が恩赦を望んでいた。検察側は彼を麻薬密売人だと言ったが、それは政治的な罠だった」と述べ、今回の恩赦を「正義の是正」と位置づけた。
エルナンデス氏の妻は4日、自身のSNSを通じて釈放を歓迎。エルナンデス氏は安全確保のため非公開の場所にいることを明かした。晴れて「自由の身」となったことに対する安堵と感謝の意を表明している。
一方でこの恩赦はホンジュラス国内だけでなく国際的にも物議を醸している。エルナンデス氏の有罪判決は米司法当局が「ホンジュラスを麻薬密輸の跳躍台にした構造的な犯罪ネットワーク」の一例として断罪したものであり、その釈放は「麻薬犯罪に対する批判的姿勢を弱めるもの」と懸念されている。
また、恩赦の時期がホンジュラスで行われた総選挙と重なったことから、「選挙への影響を狙った政治的判断ではないか」とする疑念も強い。
トランプ氏は大統領選挙で右派の候補者を支持しており、恩赦と党支持という両輪が、ホンジュラスの政治情勢に直接的な影響を与えかねないとの見方が出ている。
