米州機構、メキシコ「裁判官選挙」に深刻な懸念表明

選挙管理委員会によると、投票率は13%にとどまった。
2025年6月1日/メキシコ、首都メキシコシティ、支持者の歓声に応えるシェインバウム大統領(AP通信)

米州機構(OAS)の選挙監視団は6日、メキシコで6月1日に行われた「裁判官選挙」の投票率の低さと複雑な投票システムに深刻な懸念を表明した。

OASは声明の中で他の中南米諸国にメキシコをまねして裁判官を選挙で選ばないよう求めた。

選挙管理委員会によると、投票率は13%にとどまった。

連邦議会は昨年9月、与党・国家再生運動(MORENA)の司法制度改革法案を3分の2以上の賛成多数で可決した。

この憲法改正により、最低限の資格を持つ弁護士であれば誰でも裁判官選挙に立候補できるようになった。

この改革はメキシコのあらゆるレベルの裁判所にとって歴史的な大改革となった。有権者は最高裁判所の判事を含む約2600人の裁判官を選出した。

一部の専門家は経験の浅い政治的に偏った裁判官を生む可能性があると警告してきた。

麻薬カルテルやギャングが自分たちに近い優秀な人物を選挙に送り込む可能性も否定できない。

OASの選挙監視団は報告書の中で、投票率の低さと複雑な投票システムに懸念を表明。「大多数の有権者が”よく知られていない”数千人の候補にウンザリし、投票を放棄した」と指摘した。

またOASはこの結果を踏まえ、「裁判官選挙を地域内の他の国に推奨せず、まねることもお勧めしない」と述べた。

米国とカナダ政府はこの選挙がメキシコの司法の独立性に深刻な影響を与える可能性があると警告した。

シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領はこれらの懸念を一蹴。裁判官選挙を大成功と称賛している。

選挙期間中、麻薬王「エル・チャポ」ことグスマン(Joaquin Guzman)受刑者の元弁護士を含む一部の候補者に関するスキャンダルが連日報じられた。

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