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エルサルバドル政府が学校の規律強化、ギャング対策の一環

今月就任したトリゲロス教育相は今週、迷彩服を着用して首都サンサルバドルの高校を視察。男子生徒に髪を刈り上げ、女子生徒には清潔感のある髪形を推奨した。
2025年8月22日/エルサルバドル、首都サンサルバドルの高校(AP通信)

中米エルサルバドルの教育省が学校の服装規定を見直し、さわやかな髪形を推奨、制服の点検も義務化した。

ブケレ(Nayib Bukele)大統領の与党・新思想党(NI)はギャングを一掃する取り組みの一環として、学校の風紀改善を推進している。

中米最大のギャング「マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)」などのギャングは長い間、高校生や中学生を引き抜き、構成員にしてきた。

今月就任したトリゲロス(Karla Trigueros)教育相は今週、迷彩服を着用して首都サンサルバドルの高校を視察。男子生徒に髪を刈り上げ、女子生徒には清潔感のある髪形を推奨した。

トリゲロス氏は今週初めに全国の教育委員会に書簡を送り、服装規定の強化と、校門で生徒の服装や髪形をチェックするよう命じた。

地元メディアによると、トリゲロス氏は書簡の中で、この指示に従わなかった学校は「厳しい現実」に直面する恐れがあると警告したという。

この命令後、全国の理髪店に行列ができ、多くの男子生徒が髪を刈り上げた。

ブケレ氏は22日、X(旧ツイッター)に声明を投稿。「ギャングのような髪形や服装をした者は捜査当局にギャングと間違えられ、逮捕される恐れがあることを理解しておくべきだ」と書いた。

最新の世論調査によると、ブケレ氏の支持率は90%前後で推移している。有権者の大多数がブケレ政権のギャング掃討作戦と治安の改善を高く評価しているようだ。

ブケレ氏は2022年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャング掃討作戦を本格化させた。

それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は8万8000人を超え、そのうち約1万人が証拠不十分で釈放された。

勾留中のギャングの90%が裁判を待っている状態だ。

非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限。警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。

また刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。

ブケレ政権の掃討作戦により、国内のギャングはほぼ壊滅し、エルサルバドルは世界で最も危険な国から、中米で最も安全な国に豹変。昨年報告された殺人事件は214件で、2015年に記録した6600件の30分の1に激減した。

MS-13などのギャングは長い間、同国の広い範囲を支配し、殺人や強盗を繰り返してきた。

トランプ米政権は2月、MS-13を含む中南米の8つの麻薬組織を外国テロ組織に指定した。

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