エルサルバドル議会、ギャング容疑者8万人の公判前勾留期限を2年延長
ブケレ大統領の与党・新思想党(NI)が法案を提出。賛成57ー反対3で可決した。
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中米エルサルバドルの議会(一院制、定数60)は15日、非常事態宣言下で拘束された8万人を超えるギャング構成員の公判前勾留期限を2年間延長する法案を圧倒的賛成多数で可決した。
ブケレ(Nayib Bukele)大統領の与党・新思想党(NI)が法案を提出。賛成57ー反対3で可決した。
検察庁は声明で、「この延長により、当局がより徹底した調査を実施し、確固たる証拠を提示し、組織犯罪のメンバーに対する有罪判決を獲得できるだろう」と述べた。
議員たちは必要に応じてこの期間をさらに12ヶ月延長する選択肢をブケレ政権に付与した。
最新の世論調査によると、ブケレ氏の支持率は90%前後で推移している。有権者の大多数がブケレ政権のギャング掃討作戦と治安の改善を高く評価しているようだ。
ブケレ氏は2022年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャング掃討作戦を本格化させた。
それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は8万8000人を超え、そのうち約1万人が証拠不十分で釈放された。
勾留中のギャングの90%が裁判を待っている状態だ。
非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限。警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。
また刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。
ブケレ政権の掃討作戦により、国内のギャングはほぼ壊滅し、エルサルバドルは世界で最も危険な国から、中米で最も安全な国に豹変。昨年報告された殺人事件は214件で、2015年に記録した6600件の30分の1に激減した。
中米最大のギャング「マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)」などのギャングは長い間、同国の広い範囲を支配し、殺人や強盗を繰り返してきた。
野党議員は15日の採決後、「この法案は政府が真の正義を実現できないことを示している」と批判した。「当局はギャングの取り調べや捜査に3年以上を費やしてきましたが、予定通り裁判を行うことはできず、その多くを警備厳重な刑務所に閉じ込めることで人権を侵害しています...」
米政府は2月、MS-13を含む中南米の8つの麻薬組織を外国テロ組織に指定した。