エルサルバドル議会、大統領の任期制限を撤廃、憲法改正
最新の世論調査によると、ブケレ大統領の支持率は90%前後で推移している。
.jpg)
中米エルサルバドルの議会(一院制、定数60)は7月31日、大統領の任期を6年に延長し、再選制限を撤廃する憲法改正案を賛成多数で可決した。
ブケレ(Nayib Bukele)大統領の与党・新思想党(NI)が改正案を提出。賛成57ー反対3で可決した。
エルサルバドルの憲法は同一人物が2期連続で大統領を務めることを禁じているが、1期(5年)間隔を空ければ立候補できる。
しかし、高等選挙裁判所は昨年、ブケレ氏の出馬を認め、再選への扉を開いた。
NIは声明で、「これで大統領も連邦議会議員や知事と同様、無限に再選を追求できる」と述べた。
ブケレ氏は声明を出していない。
最新の世論調査によると、ブケレ氏の支持率は90%前後で推移している。有権者の大多数がブケレ政権のギャング掃討作戦と治安の改善を高く評価しているようだ。
ブケレ氏は2022年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャング掃討作戦を本格化させた。
それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は8万5000人を超え、うち約1万人が証拠不十分で釈放されている。
非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限。警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。
また刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。
ブケレ政権の掃討作戦により、国内のギャングはほぼ壊滅し、エルサルバドルは世界で最も危険な国から、中米で最も安全な国に豹変。昨年報告された殺人事件は214件で、2015年に記録した6600件の30分の1に激減した。
中米最大のギャング「マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)」などのギャングは長い間、同国の広い範囲を支配し、殺人や強盗を繰り返してきた。
米政府は2月、MS-13を含む中南米の8つの麻薬組織を外国テロ組織に指定した。