◎政府は3月下旬にギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャングの取り締まりを強化した。
エルサルバドル政府は23日、住宅地などに潜伏するギャングを一掃するため、都市封鎖を実施すると発表した。
ブケレ(Nayib Bukele)大統領はSNSに声明を投稿。陸軍兵士1万4000人と警察を動員して全国の都市の一部区域を封鎖し、出入りする者をチェックすると明らかにした。
またブケレ氏は一部地域で先月この戦術を採用し、大きな成果を上げたと強調した。
ブケレ氏はこの封鎖を「フェーズ5」と呼び、「犯罪者を根絶やしにする」と宣言した。
政府は3月下旬にギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャングの取り締まりを強化した。
報道によると、3月下旬以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は5万8000人を超えたという。
中西部コマサグアでは先月、殺人で指名手配されているギャングを掃討するために兵士と警察官2000人以上が動員され、市全域を包囲した。部隊はドローンなどを駆使してギャングを追跡し、町に出入りする者はひとり残らず尋問を受け、2日間で約50人が逮捕された。
ブケレ氏はツイッターに、「うまくいった」と投稿している。「掃討作戦は功を奏し、今年1月~10月の殺人事件数は前年同月から38%減少しました」
ブケレ氏が考案した非常事態宣言は毎月更新されている。それは憲法の一部を停止し、警察の権限を大幅に強化している。
また結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限され、警察は裁判所の許可を得ずに被疑者を拘束できるようになった。
さらに、刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。
人権団体によると、警察はギャングの支配地域で生活している若者を無差別に逮捕しているという。
エルサルバドルのギャング構成員は7万人以上と推定されている。マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)やバリオ18などのギャングは長い間、郊外の町や集落を支配し、殺しやゆすりを平然と行ってきた。
警察は今月初め、掃討作戦の一環として、ギャング構成員の墓を破壊し始めた。
地元の独立系メディアは人権団体の報告書を引用し、「警察の人権侵害は数千件に達し、ギャング少なくとも80人が拘留中に死亡した」と報じている。
最新の世論調査によると、多くの人権団体から批判が集まっているにもかかわらず、国民の大多数がギャング掃討作戦を支持している。