◎政府は3月下旬にギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャングの取り締まりを強化した。
2022年12月2日/エルサルバドル、首都サンサルバドル近郊、陸軍の兵士(Nayib Bukele)

エルサルバドルのブケレ(Nayib Bukele)大統領は3日、ギャングを根絶やしにする取り組みの一環として、首都サンサルバドル近郊のソヤパンゴに兵士1万人を派遣し、町を包囲したと発表した。

報道によると、市内に通じる道路はすべて封鎖され、軍と警察の特殊部隊が家宅捜索を行い、ギャングを探している。

市外に出る際には身分証明の提示を求められる。

政府は3月下旬にギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャングの取り締まりを強化した。

3月下旬以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は6万人近くに達した。

ブケレ氏が考案した非常事態宣言は毎月更新されている。それは憲法の一部を停止し、警察の権限を大幅に強化した。

また結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限され、警察は裁判所の許可を得ずに被疑者を拘束できるようになった。

さらに、刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。

ソヤパンゴは同国最大の都市のひとつで、29万人以上が住んでいる。この都市は長い間、マラ・サルバトルチャ(MS-13)やバリオ18などのギャングの拠点になっていた。

ブケレ氏は3日、「ソヤパンゴは完全に包囲されている」とツイートした。「軍と警察は市内にいるすべてのギャングを一人ずつ捕獲します...」

またブケレ氏は「一般市民は何も恐れることはない」と強調した。

ある住民はAP通信の取材に対し、「ギャングを掃討してほしい」と語った。「彼らは市民を殺し、脅し、金をむしり取る悪党です」

人権団体は警察が令状なしで容疑者を逮捕できるこの措置が恣意的な拘束につながっていると非難している。

しかし、ブケレ氏の支持率は70~80%で推移しており、市民の多くがギャングの取り締まりに賛成しているようにみえる。

最新の世論調査によると、回答者の76%が非常事態宣言を歓迎していることが分かった。

エルサルバドルのギャング構成員は7万人以上と推定されている。MS-13などのギャングは長い間、郊外の町や集落を支配し、殺しやゆすりを平然と行ってきた。

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