◎エルサルバドルの憲法は同一人物が2期連続で大統領を務めることを認めていないが、最高裁判所は2期連続就任を認めると裁定し、現職のナジブ・ブケレ大統領の背中を押した。
2021年6月1日/エルサルバドル、首都サン・サルバドルの議会議事堂、ナジブ・ブケレ大統領(Getty Images/AFP通信)

9月4日、中米エルサルバドルの最高裁判所は同一人物が2期連続で大統領を務めることを認めると裁定し、現職のナジブ・ブケレ大統領の背中を押した。

エルサルバドルの憲法は同一人物が2期連続で大統領を務めることを認めていないが、1期(5年)間隔を空ければ立候補できる。

憲法違反を容認した最高裁判所の判事は、議会で単独過半数を占めるブケレ大統領の新アイデア党が5月に任命した。

最高裁判所の憲法会議所は、国の選挙を管理する選挙裁判所に大統領の2期連続就任を許可するよう命じた。

選挙裁判所は4日の声明で、最高裁判所の判決を覆すことはできないため、判決を受け入れると発表した。

ブケレ大統領を権威主義者と非難する野党や批評家は、最高裁判所の判決を厳しく非難した。

リベラルなブケレ大統領はギャングの暴力と政治腐敗を解消すると貧困層に訴え、圧倒的な支持を集めて2019年に初当選を果たした。

ブケレ大統領は2024年の大統領選挙に立候補する計画をまだ発表していないが、野党や批評家は「ブケレ大統領は憲法を無視する」と予想している。

エルサルバドルのNGO、シチズンアクションのエドゥアルド・エスコバル弁護士は最高裁判所の判決を非難し、「2024年の大統領選挙は茶番劇になるだろう」と述べた。

野党ファラブンド・マルティ国民解放戦線のアナベル・ベロソ議員は、「国家は国民に奉仕せず、独裁者に奉仕する道を選んだ」と述べた。

人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの南北アメリカ事務局長を務めるホセ・ミゲル・ビバンコ氏は、「エルサルバドルはニカラグアとホンジュラスと同じ道を進んでいる」と述べ、最高裁判所の判決を非難した。「エルサルバドルの民主主義は崩壊しました...」

ブケレ大統領の新アイデア党は今年2月の議会選挙で議席の3分の2以上を獲得した。選挙から3カ月後、新アイデア党は最高裁判所の判事5人と司法長官を解任し、政治に左右されない独立した弁護士に変更した。

アメリカと人権団体は解任に深刻な懸念を表明し、野党はこの動きを「クーデター」と呼んだ。しかし、国民から圧倒的な支持を集めるブケレ大統領は解任を「掃除」と呼び、腐敗を撲滅すると誓った。

保守的な国民共和同盟は4日、最高裁判所の判決を「独裁政権誕生の前兆」と呼んだ。「最高裁判所の弁護士判事は憲法違反を容認しました。絶対的な力は独裁と腐敗につながります...」

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