◎9月7日に第二の法定通貨に採用されたビットコインのシステム不具合は多くの国民を悩ませ、イラつかせている。
2021年9月7日/エルサルバドル、首都サンサルバドルのラスアメリカススクエアに設置されたビットコイン専用ATM(サルバドール・メレンデス/AP通信)

エルサルバドルの現地メディアによると、9月7日に第二の法定通貨に採用されたビットコインのシステム不具合は多くの国民を悩ませ、イラつかせているという。

政府は8日に「Chivo」と呼ばれるデジタルウェレットアプリを公開したが、システムに不具合が生じた影響でメンテナンスに多くの時間を費やし、公開から1週間たった今もまともに機能していない。

政府はビットコインの利用を促すために、新規口座を立ち上げた個人に30ドル分のビットコインをプレゼントすると発表し、システムに負荷をかけたと非難されている。専門家たちは、政府のプレゼントは米ドルに換金され、生活費として利用されるだろうと述べた。

Chivoのダウンロードに成功した露天商の男性はAP通信の取材に対し、「システムにアクセスできない」と憤慨した。「このアプリは壊れています。私は30ドルを換金したいだけです。ビットコインに興味はありません」

ビットコインの問題はアプリの不具合だけにとどまらない。Chivoに関する不穏な噂を聞いたというスティーブンという若者は、「アプリをダウンロードすると個人情報や口座番号を悪用されるかもしれない」と懸念を表明した。

「一部のグループは、アプリをダウンロードすると個人情報や口座番号を抜かれるだけでなく、銀行口座の預金を全て失うと主張しています。私はこの類の噂を信じませんが、1週間アプリにアクセスできなかったことで噂を信じる人が増えたように感じます。システムが崩壊すれば、口座に預けた預金も消滅します」

進歩的な新アイデア党を率いるナジブ・ブケレ大統領は先日、ビットコインを法定通貨に採用するまでのプロセスを急ぎ過ぎたかもしれないと認めた。新アイデア党は6月にビットコイン法案を提出し、3カ月も経たぬうちに実装した。

ブケレ大統領はツイッターに、「エルサルバドルは野心的すぎる目標を設定し、間違いを犯しました」と投稿した。「しかし、政府は問題を修正しており、まもなくChivoは使用できるようになります。ビットコインを希望する国民はまもなく素晴らしい利益を享受するでしょう...」

ブケレ大統領はビットコインを利用すれば国外から送金の手間を大幅に省略できるだけでなく、素晴らしい投資効果も得られると主張しているが、ビットコインの価格は株や債券のように大きく変動するため、ほんの数分で多くの預金を失う可能性がある。

エルサルバドルの企業や個人事業主は9月7日に施行したビットコイン法に基づき、もうひとつの法定通貨である米ドルと同じようにビットコインでの支払いを受け入れることが義務化された。

最近行われた世論調査によると、回答者の大多数がビットコインの法定通貨採用に反対したという。小売店を営む60代の女性はAP通信の取材に対し、「ビットコインのルールがよく分からず困っていたが、ここ1週間ビットコインで支払うと言った顧客はひとりもいなかった」と語った。「ある老人はビットコインのATMから”B”と刻印された金貨が出ると信じていました。本当ですか?...」

しかしブケレ大統領は、中央アメリカで最も貧しい国で生活する国民のうち少なくとも50万人がビットコインによるデジタル決済を待ち望んでいると主張した。

AP通信によると、首都サンサルバドルにある世界的なファストフードチェーンや大型ショッピングモールで営業する一部の大企業は、ビットコイン決済を導入していたという。

ブケレ大統領はツイッターに、「みんな!外に出てChivoを使って!」と投稿したが、Chivoのシステム不具合はまだ解消されていない。「Chivoを使いましょう。ビットコインには素晴らしい価値があります。システム不具合はまもなく解消されるでしょう」

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