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ハイチ警察のドローン空爆で子供8人死亡、ギャング戦争激化

国家警察はコメントを出していない。
ハイチ、首都ポルトープランス、避難する親子(ロイター通信)

ハイチ・ポルトープランスのスラム街でギャングを狙ったとみられるドローン空爆により、少なくとも8人の子供が死亡、6人が重傷を負った。現地メディアが22日に報じた。

AP通信は目撃者の話しとして、「国家警察のドローンが民家に爆弾を投下した」と伝えている。

報道によると、爆発はポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」の支配下にあるシテ・ソレイユの住宅地で20日夜に発生したという。

ヴィヴ・アンサムのリーダーであるシェリジエ(Jimmy "Barbecue" Cherizier)はSNSに声明を投稿。「テロリスト政府が善良な市民を殺害した」と主張し、報復を誓った。

この爆発で8歳の少女、3歳と7歳の子供を含む8人が死亡したとされる。

国家警察はコメントを出していない。

地元の人権団体はこの空爆に合わせて警察の地上部隊がギャングの拠点に押し入り、激しい銃撃になったと発表。民間人3人とギャング構成員4人が死亡し、7人が負傷したとのこと。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。

米政府は5月、ヴィヴ・アンサムとグラン・グリフを「外国テロ組織」と「国際テロリスト」に指定した。

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