ハイチ首都でギャング抗争激化、49人死亡、武装集団が連合から離脱
この抗争はポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」から一部の武装集団が離脱したことが発端とされる。
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ハイチの首都ポルトープランスで新たなギャング間抗争が発生し、少なくとも49人が死亡した。地元の人権団体が9日、明らかにした。犠牲者には子ども10人と女性19人が含まれ、恐怖と混乱が広がっている。
この抗争はポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」から一部の武装集団が離脱したことが発端とされる。離脱した武装集団の指導者とされる人物らが、連合に属するギャング構成員やその関係者を標的に襲撃を開始した。
現地メディアによると、市中心部のスラム街でこの地区を拠点とするギャングの幹部が斬首され、ヴィヴ・アンサムの指導部に近い人物が重傷を負ったとされる。
今回の抗争は2023年9月にヴィヴ・アンサムが結成され、ギャング間で「内戦回避」の合意がなされたことで暴力がやや沈静化していた流れを突如断ち切る劇的なものだ。専門家や国際機関は離脱の背景に権力争いや利権をめぐる対立があるとみており、今回の襲撃はその“権力の再分配”を狙ったものとみられている。
犠牲者数は今後さらに増える可能性がある。現地の人権団体や公的機関へのアクセスは遮断されており、切断されたり、焼かれた遺体が路地に散乱しているという情報もある。今回の暴力は都市のほぼ全域(約90%)をギャングが支配するという現状を改めて浮き彫りにした。
住民たちは自宅にとどまり身を潜めている状況で、食料や生活必需品の供給が滞り、飢餓と生活不安が急速に拡大している。すでにハイチ国内では人口の半数近くが“危機レベル”の飢餓状態にあるとされ、今回の抗争は事態をさらに深刻化させる見込みだ。
また、この暴力の再燃は来年予定される総選挙に向けた国家の不安定化を加速させかねない。暫定政府は2026年2月に退任予定だが、住民の安全と選挙実施は厳しい状況にある。
今回の抗争はギャング同士の“勢力争い”がもたらした血みどろの暴力であり、ギャング支配が進む都市の凄まじさ、人道的危機の深刻さを改めて世界に示すものとなった。住民の命と生活、国家の統治能力が大きく揺らいでおり、ハイチ社会における治安と秩序の崩壊が一段と進行している。
