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▽入国管理局は不法入国者であることが確認された48人の妊婦、39人の母親、乳児を含む48人の子供を21日に強制送還した。
中米ドミニカ共和国のハイチ国境近く、ハイチから逃れた難民(Getty Images/AFP通信)

中米ドミニカ共和国政府が隣国ハイチから避難した135人の女性と子供を強制送還した。当局が23日、明らかにした。

それによると、入国管理局は不法入国者であることが確認された48人の妊婦、39人の母親、乳児を含む48人の子供を21日に強制送還したという。

アビナデル(Luis Abinader)大統領は今月初め、ハイチ国境の警備を強化し、移民の流入を阻止すると表明していた。

アビナデル氏は両国を隔てる国境の壁建設を加速させ、国境監視のために1500人の兵士を追加配備するなど、15の不法移民対策を実行すると約束した。

人権団体はドミニカ政府がハイチ移民を差別し、厳しく扱っていると批判している。

女性と子供たちは生体情報と指紋を採取するため拘置所に連行され、その後東部の国境検問所でハイチ当局に引き渡された。

移民局は23日の声明で、「女性と子供たちは尊厳をもって扱われ、母国に戻った」と述べた。

入管も声明で強制送還を擁護。「人々はパッド入りのシート、安全ベルト、エアコン、カーテン、CCTVカメラ、バスルーム、荷物置き場のある拘置所で過ごし、その後、バスで国境まで移動した」と述べた。

また入管は「全員が病院で適切な診断を受け、健康上の問題がないことを確認している」とした。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルはこの強制送還を「非人道的」と非難。「ハイチの医療体制を考えると、妊婦や乳児の送還はもっともやってはいけないことだ」と断じた。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は先月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら支配地域の拡大を目指しているとされる。

一連の暴力とギャング間抗争により、100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。

人口約1100万人のドミニカ共和国には少なくとも50万人のハイチ難民が流入したと推定されている。

人権団体の調査によると、昨年3万3000人近いハイチ人女性がドミニカの病院で出産したという。

アビナデル政権は昨年10月、毎週1万人の不法移民を強制送還するという目標を立て、それ以来、18万人以上を送還してきた。その99.9%がハイチ人で、人権団体は警察が令状なしで家に押し入るなど、移民を虐待していると非難している。

ヴィヴ・アンサムは今週、中部ミバレの国立病院を襲撃。これにより、同院は閉鎖に追い込まれた。

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