◎ドミニカ政府は昨年、ハイチ移民17万4000人以上を強制送還。今年上半期の送還者は約6万7000人となっている。
中米ドミニカ共和国政府は2日、国内に不法滞在しているハイチ移民の強制送還手続きを開始し、毎週最大1万人を本国に送還すると発表した。
大統領府の報道官は記者会見で、「アビナデル(Luis Abinader)大統領はハイチの不法移民が激増していることを受け、この決定を下した」と語った。
それによると、国連PKOがうまく機能していないため、移民が急増し、その多くがドミニカ国境に押し寄せているという。
報道官は「ハイチ国境の警備を強化する予定だ」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。
ドミニカ政府は昨年、ハイチ移民17万4000人以上を強制送還。今年上半期の送還者は約6万7000人となっている。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ハイチの人権活動家たちはドミニカ政府がハイチ移民を不当に扱い、暴力をふるったり、施設で虐待していると告発しているが、アビナデル氏はこれを否定している。
アビナデル氏は先週の国連総会演説でPKOミッションが失敗した場合、自国を守るために抜本的な措置を取ると警告していた。
国連PKOを率いるケニアは今年6月に先発隊として警察官400人を派遣。ハイチ国家警察を支援している。
ジャマイカも最近、陸軍兵士と警察官約20人を派遣した。
しかし、国連はPKOの要員と装備が明らかに不足していると指摘。ポルトープランスの治安は改善しておらず、悪化していると指摘する専門家もいる。