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ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2025年1月28日/ドミニカ、首都サントドミンゴの病院(ロイター通信)

中米ドミニカの病院に隣国ハイチから逃れた女性が大挙して押し寄せ、医療システムに圧力をかけている。

ドミニカ政府は現在、正規ビザ(査証)を持たないハイチ難民の強制送還を進めているが、人道上の理由から、妊婦や重病患者は受け入れている。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは2年以上前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。中部アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

この結果、70万人以上が住まいを失い、その場しのぎの不衛生なテントやシェルターで避難生活を余儀なくされている。

ギャング紛争が始まって以降、国を離れた市民は数十万人と推定され、その多くがドミニカに避難、一部は米国を目指している。

ドミニカ政府はこのギャング紛争を受け、国境警備を強化。不法入国は難しくなっている。

ドミニカでハイチ人の両親から生まれた子供は市民権を得られない。

ドミニカ東部のリゾート氏プンタカナの病院で子供を産んだという女性はロイター通信の取材に対し、「ハイチで出産することは不可能だったため、ドミニカ政府に助けを求めた」と語った。

国連によると、ハイチ・ポルトープランス周辺で機能している病院は昨年10月時点で4分の1以下であった。

ポルトープランス最大の国立病院は昨年末に運用を再開したものの、その直後にギャングの攻撃を受け、閉鎖された。

一連の暴力により、ポルトープランスの空港や港は何度も閉鎖を余儀なくされ、病院では血液や酸素などの物資が圧倒的に不足している。

国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は昨年、ギャングの脅迫により、患者の受け入れを一時停止した。

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