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ドミニカ、麻薬撲滅のため米軍に制限区域へのアクセスを許可

アビナデル首相は首都サントドミンゴでヘグセス米国防長官と会談後、この発表を行った。
ドミニカ共和国、首都サントドミンゴ(Getty Images)

ドミニカ共和国のアビナデル(Luis Abinader)大統領は26日、米政府に対し、同国の制限区域における軍事・支援活動を一定期間、許可すると表明した。

これにより、米国は同国のサン・イシドロ空軍基地(San Isidro Air Base)およびラス・アメリカス国際空港(Las Américas International Airport)で、航空機の給油や装備・技術要員の輸送・配備を行うことが可能になる。

アビナデル氏は首都サントドミンゴでヘグセス(Pete Hegseth)米国防長官と会談後、この発表を行った。

米海軍は9月、外国テロ組織に指定されているベネズエラの麻薬組織トレンデアラグアが運航する麻薬輸送船を空爆し、構成員11人を殺害。その後、さらに19隻の麻薬密輸船を爆撃した。

一連の攻撃による死者は80人にのぼっている。

ドミニカはカリブ海域の同盟国として、初めてこの作戦に協力する姿勢を示した。

アビナデル氏は今回の米国との連携・支援により、同国は空と海における麻薬密輸の監視・阻止能力を強化すると説明している。

大統領府によると、提供される支援には専用空中給油機であるKC-135の他、輸送・救難・気象偵察など多用途に使われるC-130ヘラクレス機の運用が含まれている。

これにより、空中パトロール、密輸監視・追跡、さらには医療搬送や災害救援など幅広い任務が可能になるとしている。

この協力関係は「技術的で、限定的、かつ一時的」という性格が強調されている。

アビナデル氏は共同記者会見で、この合意について、「我々の軍が維持する空と海の防御網を強化し、麻薬の流入を防ぎ、国際的な組織犯罪に対してより決定的な打撃を与えるための措置だ」と語った。

またアビナデル氏は、近年のドミニカにおける米国との共同対麻薬活動の成果として、過去5年間で同国の麻薬押収量は、それ以前の10年と比べて年間あたりほぼ10倍に増加したと強調した。

さらに「麻薬密輸は国境も国旗も知らず、家族を破壊する実在の脅威であり、同盟国との連携なしには対処できない」と語った。

一方、米側もこの協力を評価し、ドミニカを「地域のリーダー」と位置づけた

ヘグセス氏はドミニカが率先して困難な挑戦を受け入れたと称賛。米国は法と主権を尊重した上で支援を行うと明言した。

この合意は、米国が中南米・カリブ海域における麻薬密輸対策で同盟国を取り込み、空軍や海軍を活用した監視・阻止能力を拡大しようとする中で、実績として明示された初の主要な公的協力となる。

これにより、ドミニカは地域の安全保障と国際犯罪対策における協力の前線に立つ姿勢を示したと言える。

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