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ドミニカ憲法裁判所、警察・軍隊における同性愛行為禁止を違憲と裁定

ドミニカにおける同性愛の現状は、法的・社会的な制約が依然として強い。まず、同性愛行為自体は合法であり、個人のプライベートな合意による関係は刑法で禁止されていない。
ドミニカ共和国出身の女性(Getty Images)

ドミニカ共和国の憲法裁判所は19日、同国の警察および軍隊内における同性愛行為を犯罪とする条項を違憲と裁定した。

人権団体はこの判決を歓迎した。

国防省と警察庁はこの判決に対するコメントを出していない。

ドミニカにおける同性愛の現状は、法的・社会的な制約が依然として強い。まず、同性愛行為自体は合法であり、個人のプライベートな合意による関係は刑法で禁止されていない。

しかし、法的保護は限定的だ。性的指向や性自認を理由とする包括的な差別禁止法はなく、職場や住居など広範な場面でのLGBT差別に対する保護は十分ではない。

また、同性婚や市民的パートナーシップの法的承認もなく、憲法レベルで結婚は「男と女の結合」と明記されている。

憲法裁は今回、国家警察と軍の規範から「同性行為を禁じる条項」を撤廃する判断を下した。これにより、同性愛者の警察官や軍人が性的指向を理由に刑罰を受けることがなくなった。

それでも、トランスジェンダーの権利に関しては、性別変更を法的に認める制度は整っておらず、社会的偏見も根強い。

教育や宗教の影響も強く、多くのドミニカ人はカトリックの伝統的価値観を重んじる。

原告団を率いる人権団体の代表は20日の声明で、「警察や軍隊の内部だけでなく、一般社会においても、誰も差別されるべきではない」と強調した。

国内では判決を歓迎する声がある一方、多くの批判も上がった。

国内最大の福音派組織は声明で、「道徳、価値観、原則の面でこの国が経験していることは憂慮すべきだ」と表明。「このような堕落を公に合法化することは、明白な前例を作り出す。それは我々がドミニカ共和国に望んできたものとは相容れず、またそれに沿うものでもない」と主張した。

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