SHARE:

ドミニカ健康保険汚職事件、被告7人に勾留命令、捜査進む

この事件はドミニカの国民健康保険機関(SENASA)が対象。同機関は国内700万人以上の国民に医療サービスを提供している。
ドミニカ共和国のビーチ(Getty Images)

ドミニカ共和国の裁判所は15日、同国の健康保険機関を巡る2億5000万ドル規模の汚職事件で、元政府高官ら7人に対し1年以上の勾留を命じた。裁判官は逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、勾留の必要性を強調した。

この事件はドミニカの国民健康保険機関(SENASA)が対象。同機関は国内700万人以上の国民に医療サービスを提供している。捜査当局によると、容疑者たちは医療関連企業の代表者らから3100万ドル以上の賄賂を受け取り、実際には提供されていない医療サービスや、既に死亡した患者の治療費として契約を結ばせるなどの不正契約を多数結んだ疑いがある。

逮捕者はこれまでに10人に上っており、同じく起訴された実業家ら3人は自宅軟禁とされた。10人は贈収賄、詐欺、横領、マネーロンダリング、共謀など複数の罪に問われている。

捜査を主導する検察庁の担当検事はこの事件を「史上最悪の汚職事件のひとつ」と評し、国民の基本的な権利を直接侵害するものだと非難した。特に健康保険制度を悪用し、貧困層の医療サービスを削ぐ行為は許されないとしている。

首都サントドミンゴの裁判所は決定の中で、「公職を私物化し、無節操な事業者と結託して公的資金を奪取した行為は、国家に対する重大な裏切り行為だ」と断じた。また判事は検察側に対し、捜査完了までの期間として8か月を与えた。

一方で、被告の弁護団は健康状態を理由に勾留や自宅軟禁の回避を求めていたが、判事はこれを退けた。

この決定を前に、サントドミンゴの裁判所前には影響を受けた市民ら数百人が集まり抗議デモを行った。参加者の多くは保険制度の不正で苦境に立たされた家族の状況を訴え、国家への失望を表明した。

    この記事が気に入ったら
    フォローしよう
    最新情報をお届けします