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国境なき医師団、ハイチ首都の緊急医療センターを永久閉鎖、ギャング暴力激化

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
2025年9月30日/ハイチ、首都ポルトープランス中心部の交差点(AP通信)

国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は15日、ハイチの首都ポルトープランスで続くギャング暴力により、MSFのポルトープランス緊急医療センターを永久に閉鎖せざるを得なくなったと発表した。

ポルトープランスの医療施設の60%以上(総合病院を含む)がギャング暴力の激化により、閉鎖または機能停止状態にある。

市中心部にあるMSFの緊急医療センターは2025年3月に一時閉鎖。当時、同センターから職員を避難させていたMSF車両4台がギャングに銃撃され、職員数人が軽傷を負ったためだ。

MSFハイチ代表は声明で、「同センターは戦闘地域に近いエリアにあり、流れ弾が頻繁に飛んでくるなど、患者とスタッフ双方にとって危険すぎる」と説明した。

3月の閉鎖前、同センターでは2月24日から3月2日までに300人以上の患者を治療していた。2月には2500件以上の診療・治療を実施したと報告している。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは4年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

ポルトープランスでは現在も同地域の大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

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