◎武装ギャングは3日、アルティボニット県の複数の地区で攻撃を開始し、ライバルギャングの構成員だけでなく、女性や子供も虐殺した。
ハイチ中部アルティボニット県で先週発生したギャングによる襲撃事件について、死者数が115人に上った。現地メディアが8日に報じた。
武装ギャングは3日、アルティボニット県の複数の地区で攻撃を開始し、ライバルギャングの構成員だけでなく、女性や子供も虐殺した。逮捕者は出ていない。
同県の関係者で避難民を支援している女性はAP通信の取材に対し、「虐殺の犠牲者は115人にのぼり、さらに増えるだろう」と語った。
また女性は「避難民および被害を免れた地域住民の安全を確保するために努力している」と述べた。
国連は地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングの構成員が少なくとも70人を殺害したと非難している。
グラン・グリフはアルティボニット県で最も強力なギャングとされ、先月にはリーダーとされる人物が米国の制裁対象となった。
地元の人権団体によると、犠牲者の中には乳児や母親、高齢者も含まれている。ギャングは住民を襲うためにカヌーで町に侵入したとみられる。
生存者たちはグラン・グリフがSNSに投稿した動画で町を襲うと警告していたにもかかわらず、治安当局は襲撃を阻止するために何もしなかったと非難している。
国連によると、襲撃の翌日、当局はアルティボニット県を管轄する警察本部長を交代させた。同県では近年ギャングによる暴力事件が急増しており、少なくとも20の犯罪組織が活動しているという。
6200人以上が避難を余儀なくされ、その多くが被害を免れた海岸沿いの町に逃れた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。