警察署前でトラック爆発、警察官含む5人死亡、12人負傷 メキシコ
ミチョアカン州はメキシコで最も危険な州のひとつであり、その大半が世界最大の麻薬組織シナロア・カルテルとつながりのあるギャングの支配下に置かれている。
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メキシコ中西部ミチョアカン州の警察署前で車が爆発した事件について、捜査当局は7日、少なくとも5人が死亡、12人が負傷したと明らかにした。
事件は同州コアウアヤナの中心部で6日の正午頃に発生。爆発物はピックアップトラックに仕掛けられていたという。
犠牲者のうち3人が警察の関係者。トラックに乗っていた人物(運転手とみられる)は即死状態であった。動機や背景は調査中。負傷者の多くも地域警察のメンバーだ。
ミチョアカン州はメキシコで最も危険な州のひとつであり、その大半が世界最大の麻薬組織シナロア・カルテルとつながりのあるギャングの支配下に置かれている。
現地メディアによると、ミチョアカン州ではこの数カ月、武装集団による暴力が激化し、爆発物を使った攻撃が急増しているという。
ミチョアカン州では最近、シナロア・カルテルのライバルであるハリスコ新世代や湾岸カルテルも勢力を拡大していると伝えられている。
ミチョアカン州は違法薬物の密輸ルートの要衝とされ、治安部隊とカルテルの衝突が絶えない地域である。
カルテルは近年、ドローンからの爆弾投下や地雷、即席爆発装置(IED)など、より“軍事的”な攻撃を多用するようになっている。報道によると、今回のように車に爆発物を仕掛けるケースは稀だという。
今回の爆発は州政府や当局による大がかりな治安対策が行われている最中に起きた。ミチョアカン州では最近、犯罪組織対策の一環として連邦政府による部隊派遣や合同作戦が強化されていたが、それでもなお暴力の連鎖は止まっていない。
この事件は同州における治安の深刻さと、住民や警察・地域警察に対する脅威の大きさを改めて浮き彫りにした。警察側からは「爆発の衝撃は強く、運転手の遺体は木っ端みじんになった」との証言もあり、爆発の規模・破壊力の大きさがうかがわれる。
州当局は現在、爆発の原因と背後にいる組織の特定を急いでおり、治安情勢のさらなる悪化を防ぐため警戒を強めている。
だが、今回の事件はカルテルの支配と対立構造、そして「地域警察を含む治安部隊への攻撃」という複雑な構図が続く限り、ミチョアカン州の治安改善は容易ではないことを示す事例となった。
