グアテマラ非常事態宣言、ギャング暴力で警察官10人死亡
今回の一連の事件は刑務所内の暴動とそれに続く市街地での襲撃が発端となっている。
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中米グアテマラで1月17日から18日にかけて発生したギャング関連の暴力について、当局は20日、これまでに10人の警察官が死亡したと明らかにした。これを受け、政府は1月18日から30日間の非常事態を宣言し、治安部隊の権限を強化した。今回の一連の事件は刑務所内の暴動とそれに続く市街地での襲撃が発端となっている。
暴力は17日夜、複数の刑務所で受刑者が暴動を起こし、刑務官ら約40人を人質に取ったことから始まった。当局は受刑者らがギャング指導者の待遇改善などを要求していると説明している。18日朝、警察と軍が共同で暴動を鎮圧し、人質全員の解放に成功したが、その後首都グアテマラシティに展開していた警察官に対する襲撃が相次いだ。ギャングメンバーとみられる武装集団が複数地点で治安部隊を標的に発砲し、負傷者も多数出た。
アレバロ(Bernardo Arévalo)大統領は19日、グアテマラシティで行われた合同葬に参列し、殉職した警察官の棺に国旗をかけ、「国家はその犠牲と献身を忘れない」と述べ、責任者の摘発と暴力鎮圧を約束した。遺族たちは厳正な対処を求める声を上げている。
非常事態宣言により、政府は市民の行動の自由や集会の権利を一時的に制限し、裁判所の令状なしにギャング関係者と疑われる人物を拘束する権限を治安部隊に付与した。さらに特定地域での車両の移動制限や検問、家宅捜索が可能になるなど、通常の法手続きより強化された措置が導入されている。議会は宣言を1月18日に賛成149ー反対1という圧倒的多数で可決した。非常事態は法律上、一度発効すると議会の承認を要するが、すでに当局は宣言の発効に基づいて治安活動を展開していた。
グアテマラシティでは軍や警察の巡回が増え、交通量は平常時よりも減少している。一部住民は外出を控える動きを見せる一方、治安強化を評価する声も聞かれる。しかし市民生活には不安も広がっており、学校の休校や企業の営業自粛、公共イベントの中止が相次いでいる。特に市中心部では買い物客や通勤者が減少し、活気が失われているとの指摘もある。
今回の暴力事件には中米地域で幅広い勢力を持つ「バリオ18」などのギャングが関与していると見られる。これらギャング組織は麻薬密輸や強盗などの犯罪で長年国家の治安を脅かしており、政府は数年前からテロ組織に指定・対処してきた経緯がある。今回の暴動と襲撃は刑務所内での待遇変化への抗議が引き金とみられるが、治安当局は組織犯罪への断固たる対応を強調している。
政府は非常事態宣言期間中に治安の改善とギャング勢力の壊滅を目指すとしているが、暴力の根絶には時間を要するとの見方もある。国際社会や地域住民からは、治安と基本的人権のバランスをどう保つかが今後の大きな課題として注目されている。
