プエルトリコ電力公社の債務再編計画、債権者の反対で頓挫
米国の投資会社ブラックロックをはじめとする投資ファンドは2年前に連邦管理委員会が提示した合意案とその後の修正案に同意していた。
.jpg)
米領プエルトリコの電力網を管理する電力公社の債務再編計画が大きな障害に直面している。プエルトリコの財政を監督する連邦管理委員会との合意を一部の債権者グループが破棄したためだ。
この合意案に基づき、プエルトリコ政府が債権者に支払う額は、一部の債券保有者が要求する全額85億ドルではなく26億ドルに抑えることが可能となるはずだった。
米国の投資会社ブラックロックをはじめとする投資ファンドは2年前に連邦管理委員会が提示した合意案とその後の修正案に同意していた。
しかし、債権者グループはトランプ政権が債務交渉を監督する連邦管理委員会のメンバー1人を除く全員を解任したことを受け、方針を見直した。
委員会案に反対していた債権者グループは25日、ブラックロックらが同調する旨の文書を裁判所に提出した。
同グループは現在、プエルトリコ電力公社が発行した未償還債券の約90%を保有している。
専門家は委員会メンバーのほぼ全員が解任され、全額返済を求めるヘッジファンドに有利な新メンバーが任命される可能性があると指摘している。
委員会の事務局長は今年初め、「一部の債券保有者が求めている85億ドルを米政府が”立て替える”ことは不可能である」と述べていた。
プエルトリコは2017年のハリケーンで送電網が壊滅的な被害を受けて以来、送配電や発電設備の改修を急いできた。地元メディアによると、建て替えが必要な鉄塔は全体の40%にのぼる。
送電網の再建は道半ばだ。なお、2017年のハリケーンが襲来する前から、投資とメンテナンス不足により、送電網はすでに脆弱な状態であった。
プエルトリコは米国の中で最も電気料金が高い州の1つであり、債券保有者と債務再編で合意に達しなければ、債務を返済するために大幅な料金引き上げに見舞われるのではないかと多くの市民が懸念している。